災害時におカネは一体いくらもらえるのか 災害弔慰金なら最大500万円が支給される

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災害で世帯主がケガをしたり、住宅や家財が大きな被害を受けたりして、手持ちの資金だけでは当面の生活に困るケースもあるでしょう。生活を立て直すための資金として「災害援護資金」を借りることも可能です。

住居全壊で250万円、土石流などでの滅失なら350万円

世帯主が1カ月以上の負傷の場合は150万円。世帯主が1カ月以上のケガを負ったうえ住居が全壊なら350万円、半壊では270万円、家財の3分の1以上の損害では250万円です。

世帯主に負傷がない場合は、住居全壊で250万円、半壊で170万円、家財の3分の1以上の損害で150万円です。土石流や津波で流されたなど、住居全体の滅失・流失では350万円となります。

いずれも所得制限があり、1人世帯では220万円、2人世帯では430万円、3人世帯620万円、4人世帯730万円などを超えないことが条件です(前年の所得)。ただし、住居が滅失した場合は世帯にかかわらず前年の所得が1270万円以下なら利用できます。返済期間は10年で、当初3年間は据置期間として返済が猶予され、その間、利子もかかりません。返済猶予期間が当初5年間になるケースもありますし、東日本大震災では返済期間が最大15年になるなど、変更されることもあります。

また、災害援護資金の対象にならない人でも、低所得世帯、障害者のいる世帯、要介護者がいる世帯を対象に生活福祉資金貸付制度によって貸し付けが行われることもあります。市区町村や地域の社会福祉協議会に相談してみましょう。

一方、「被災者生活再建支援制度」を使って支給を受けることもできます。この制度は住宅が全壊したり、敷地に被害があってやむなく解体したり、危険があって居住できない状態が長期間続いている場合、また大規模な補修が必要(大規模半壊)な場合に支給を受けることができるというものです。

全壊や解体、長期避難では「基礎支援金」として100万円、大規模半壊では50万円です。別途、住宅を再建する人には「加算支援金」が支払われ、建設・購入する場合は200万円、補修では100万円、賃借では50万円です。自宅が全壊して建て直す、という場合は、基礎支援金100万円と加算支援金200万円で、計300万円となります。

この被災者生活再建支援制度を受けるためには、自治体から「罹災証明書」を交付してもらう必要があります。被災した人が市区町村に申請すると、自治体の調査員が現場を調査したうえで発行してくれます。損害の割合は50%以上では「全壊」、40%以上50%未満では「大規模半壊」、20%以上40%未満では「半壊」となります。

大阪府北部地震では、一部の自治体で、被災者が被害状況を撮影したスマホ写真などを参考に罹災証明書を発行する「自己判定方式」が採られました。罹災証明書は、支援金を受けるためでなく、義援金を受け取ったり、税や保険料、公共料金なども減免や支払い猶予を受けたりするためにも必要になることがあり、迅速に交付されれば、スムーズに支援を受けられます。火災保険や地震保険など、損害保険の保険金を請求する場合にも役立ちますので、被害状況をスマートフォンなどで撮影しておくように心掛けてください。

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