災害時に慌てて仮設住宅を作るのはやめよう 新しい公共空間Pop-up Commonsとは?

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なぜ日本は震災時に仮設住宅を慌てて作るのか。平時から「別の形」で災害に備える手立てがある(写真:gootaro/PXTA)
欧米に比べ遅れている公的不動産活用をどうすればいいのか。経営と街づくりの視点から鋭く切り込む木下斉(一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事)、「共通価値経営」を標榜する野尻佳孝(テイクアンドギヴ・ニーズ会長)、リノベーションなどで優れた実績を誇る馬場正尊(オープン・エー/東京R不動産)の3人が、ホスト兼パネリストとして毎回ゲストを迎え、「新しい日本の公共不動産のあり方」をビジネス視点で考える「パブリック・アライアンス・トーク」。
第3回のゲストはタリーズコーヒージャパン創業者で前参議院議員の松田公太氏と、連続起業家でありMistletoe社長 兼 CEOの孫泰蔵氏。3回に分けてお送りするトークの「3回目」は、新しい公共空間について。孫氏を中心に 5人が熱く語る。

「コンテナでできた街」で再生したロンドン犯罪多発地域

孫泰蔵氏が提唱するまったく新しい公共空間「Popup Commons」とは? 5人が熱く語る(左から木下、野尻、松田、孫、馬場の各氏、写真提供:パブリック・アライアンス事務局)

――孫さんは「Pop-up Commons」という新しいアイデアをお持ちです。どのような構想なのかをお話しください。

:まずロンドン郊外のブリクストンという町のケースを紹介させてください。ここはかつて、若年労働者が流出して高齢者ばかりになり、また「仕事がない」ということから犯罪に走る人が増えてしまった町です。

「この街の現状をなんとかしよう」ということで、まずは駅前のスペースの再開発に取りかかりました。そのコンペで選ばれたデザイナーのアイデアが実現したのが「ポップ・ブリクストン」というエリアです。

ここの特徴は、「建築物がすべてコンテナ」というところです。並べたり積み上げたりしたコンテナの中に、コワーキングスペースやバー、ベーカリーやイベントスペースがあるのですが、若者に大人気のスポットに生まれ変わりました。

野尻:カッコイイですね。

:このポップ・ブリクストンに入りたいテナントは、いくつかの審査などにパスをすれば、安く借りることができるんですが、条件の1つに、「刑務所帰りの人を一定の割合で雇用する」という項目があるんです。この地域は、犯罪の多かった街なので、再犯率をどう減らすかが、大きな課題でした。そのために、彼らの再就職を支援するNPOも入居していて、ちゃんとトレーニングもしているんですね。

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