フィンテックで継続的に投資利益を出す方法 初心者が知るべき「システムトレード」とは?

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その答えは明白です。本当に儲かるならば、そのような手法は他人に公開する必要はありません。投資セミナーに出たことがある読者の中には下記の絵のような体験をしたことがある方も結構いるのではないでしょうか。

(出典:筆者作成)

「トレンド戦略」の「3本の矢」とは?

ここで、先ほどのヘッジファンドの担当者になったつもりで考えてみましょう。運用担当者にとっての最大の悩みはファンドの成績ですが、それ以上に大事なのは、実は大口投資家から解約されないようにすることです。
確かに損失は資金の流出につながります。しかし、あまりに高い収益を上げすぎると投資家の「利食い」により運用資産が減少することがあります。また複数の投資家から異なるタイミングで資金を預かるため、どの投資家に対しても安定した収益を提供するためには「継続して安定した収益を達成すること」が重要になります。たとえば2015年に公開された映画『マネー・ショート』でも描かれているように、最終的に莫大な利益を上げることができたとしても、その過程では運用者は相当なストレスを受けることになります。

中長期で安定したパフォーマンスを達成するためには、価格のトレンド(傾向)を捉えることが重要なのですが、こうした戦略を一般に「トレンド戦略」と呼びます。

トレンド戦略を策定するには、複数のテクニカル手法(これを「3本の矢」に例えてみましょう)を用意することが重要です。まずトレンドを捉えるテクニカル分析については移動平均線が最も有名ですが、移動平均線は最初の1本の目の矢にすぎません。そこで2本目の矢を使います。比較的短期の価格のリバーサル(逆張り)を捉える手法であり、有名なものはRSI(相対力指数)です。これら2本の矢は価格が比較的安定に推移している場合は有効に機能しますが、価格が急騰・急落した場合にどう対応するかも重要です。このような事態が発生したときのために用意するのが3本目の矢であり、回帰分析を応用した「ジャンプモデル」等が用いられます。

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