「40歳正社員・月給18万円」は恵まれている? 上司のメールを無視する「休職中」男性の胸中

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一方で人間関係は悪かったという。タイシさんによると、事務方の上司から、ロッカーやイスなど施設内で使う備品の選定といった清掃以外の仕事を任されたところ、同僚たちから「あいつは掃除をまじめにしていない」と陰口をたたかれるようになった。

「上司は、清掃員の中でも若手の僕に、いろいろな仕事を覚えさせようとしたみたいなんです。でも、長年掃除の仕事だけをやってきた、特に60代、70代の清掃員たちに冷たくされたり、怒られたりするようになりました」

年配の同僚から叱責されたとき、実際に汚れが残っていたこともあったが、やっかみからくるただの言いがかりだと感じたこともある。いずれにしても「嫌われたと思うと、つらくて仕事に行けなくなってしまいました」。

ストレスが重なり、昨年9月に医療機関で適応障害と診断された。その後、休職。現在は、傷病手当金として毎月約12万円を支給されている。

職場での人間関係をつくるのが下手

首都圏のある地方都市、自営業を営む両親の下で育った。大学4年生のときに中退。その理由についてこう説明する。

「友達と遊んじゃったんです。カラオケとかダーツとかボウリングとか――。気がつくと取り返しがつかないくらい単位が足りなくなっていて。楽しいことに流されてしまった僕が悪いんです。親からは留年したら、学費は出さないと言われました。なぜ、働きながら卒業しなかったのか、ですか? 僕には無理だと思ったので。(中退したことは)後悔はしていません」

その後は、スーパーの倉庫整理や訪問介護ヘルパー、ホテルの清掃員など10回近く仕事を変えた。アルバイトだったこともあれば、正社員だったこともある。共通していたのは、ほとんどの職場で、毎月の手取り額が15万円前後と低水準だったこと。ボーナスは、高齢者向けグループホームで働いていたとき、一度だけもらったことがあるという。

転職のきっかけは、人間関係のトラブルや倒産、待遇が悪すぎたから、などさまざま。タイシさんは「落ち込みやすくて、弱い性格。職場での人間関係をつくるのが下手で、仕事が続きません」と自分を分析する。

家族との関係は「最悪」だという。特に父親のことは「できれば話したくない」。

父親はしつけに厳しく、学校の成績について文句を言われたことはないが、食事中にくちゃくちゃと音を立てただけで、茶わんやコップが飛んできたという。

また、高校時代にバンドを組んでいたタイシさんが、初めてライブハウスで演奏をしたときも、両親からは「みんなに迷惑をかけていることを自覚しなさい」と言われた。「(バンド活動については)その後も、たびたび『迷惑』と言われました。バイトをしていなかったので、(バンド活動に)おカネがかかって迷惑という意味だったのか、今でもよくわかりません。そのせいで、音楽をすることは悪いことという意識が今も抜けません」という。

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