生活保護が命綱、幻聴に悩む31歳男性の苦境

コンビニバイトでは「罰金」が日常だった

少年院や刑務所に複数回にわたって収容されたことがあるというコウキさん(編集部撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは、「現在、生活保護受給者です。仕事もドクターストップされていてできません。非常に生活苦で困っています」と編集部にメールをくれた31歳の男性だ。

四方八方から聞こえてくる声

「コウキ、コウキっ! こっち来いよ」「お前なんか死んじまえ」――。

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深夜、東京都内にあるネットカフェの一室。最初は店員に呼ばれたのかと思ったという。しかし、違った。コウキさん(31歳、仮名)が幻聴に悩まされるようになったのは、今から5年ほど前。行く当てがなく、ネットカフェで寝泊まりしていたときだった。

四方八方から聞こえてくる声は、男性であることもあれば、女性であることもあった。たいていは罵倒や悪口だったという。「毎晩2~3時間しか眠れない日が続いていたんです。そこにヘンな声まで聞こえてくるようになって……。俺の頭がおかしくなったのかと思いました」。

仕事ができなくなり、たちまち持ち金が底をついた。このため、生活保護を申請。窓口のケースワーカーに幻聴について相談したところ、医師の診察を受けるよう勧められ、そこで統合失調症と診断された。「そんな名前の病気があるんだ、と思いました」。

ここ数年は、生活保護を利用しながら、行政の保護施設などで暮らしてきた。投薬により幻聴は収まったが、不眠は処方薬を変えても一向に改善されない。コンビニエンスストアで働いてみたが、体力が持たず、続かなかった。最近は、担当医から「睡眠不足で働くと、事故やケガにつながるから」と仕事に就くことを止められているという。

首都圏のある地方都市で育った。幼い頃に両親は離婚、父親が兄とコウキさんを引き取った。地元はいわゆる荒れた地域で、通っていた公立中学校では、他校の生徒たちが集団で押し掛けて暴れたり、正門前でパトカーが待機したりしている光景が当たり前だったという。

コウキさんはその中学校でいじめに遭った。殴られ、蹴られ、カネを脅し取られる――。

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