北朝鮮では間違っても「鉄道」に投資をするな 開放された場合、有望な投資先は?

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だが、鉄道網の再建には道路の2倍以上、773億ドル(約8兆5000億円)が必要になると試算されている。平壌と沿岸部の主要都市を結ぶ路線など、中には再建を正当化するだけの貨物・旅客需要を持った路線も存在する。とはいえ、改修に巨額の費用がかかることを考えると多くが廃線になる可能性が高い。

鉄道の近代化には韓国、中国、ロシアの各政府が中心となって資金や技術、運営ノウハウを提供することになろう。南北の鉄道を連結し、ロシアや中国とつなげる案は1990年代から検討されてきた。これが高速鉄道になるのであれば、総工費は軽く数十億ドルに達する。

ざっと1.1兆円規模の投資が必要に

中国の高速鉄道建設費は1キロメートル当たり推定1700万〜2100万ドル(19億円弱〜23 億円強)。だが、北朝鮮ではこれより高くつく公算が大きい。安全保障上の問題に加えて、現場でのノウハウ不足や資材供給体制の欠如を補う必要があり、余計なコストがかかってくるからだ。韓国ソウルと北朝鮮の新義州を結ぶ数百キロメートルの路線だけで、ざっと100億ドル(1兆1000円)は必要になるだろう。ロシアと韓国を結ぶ高速鉄道となれば、建設費はこれを大幅に上回る。

鉄道事業もリスクが大きい(写真:北朝鮮ニュース)

このように巨額の資金を必要とする鉄道事業はリスクが大きく、参入障壁も高い。ただ、近代化工事が実際に始まり、多国間のコンソーシアム(共同事業体)によって債務保証が受けられる状況になれば、外資にも融資や技術支援といった形で商機が出てくる。

インフラ事業と違って、北朝鮮の軽工業は海外勢から見てもまったく未知の分野というわけではない。開城工業地区はピーク時で約125社の韓国企業が進出し、5万人を超す北朝鮮労働者を雇用していた。2011年の調査によれば、進出企業は工業地区の競争力を「高い」か「極めて高い」と評価。満足度は全般に高かった。

理由は簡単だ。ベトナムや中国の経済特区に比べ賃金は安く、労働生産性も高かったことが、いくつかの調査で明らかになっている。ある研究によれば、韓国の生産性を100としたときの開城の生産性は70と、ベトナムの40を大幅に上回っていたという。

開城では主に衣類や靴といった軽工業品の生産のほか、電子機器の組み立てが行われていた。開城工業地区の規模は小さかったが、北朝鮮で経済特区の運営が広がり、企業誘致が進めば、開城のような工業団地では利益が見込めそうだ。

つまり、問題は経済ではない。政情一般や政府によって資産が没収されるリスクこそが問題であり、これらが投資の妨げとなっている。

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