北朝鮮「巨大リゾート計画」は"非常識"の塊だ ビル170棟以上を猛スピードで建設中

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ウォンサンでは、170棟のビルの建設が猛スピードで進んでいる(写真:北朝鮮ニュース)

北朝鮮の東部沿岸の都市、元山(ウォンサン)にある広大な葛麻(カルマ)海岸観光地区で、少なくとも170棟以上の建物が建設中であることが「NK PRO」(北朝鮮ニュースの有料版)の分析でわかった。プラネット・ラボ社が運用する観測衛星「スカイサット」による4月27日付の衛星写真を解析したことによってわかった。

このリゾート計画は金正恩委員長による2018年の「新年の辞」で初めて発表されたもので、現在、"非常識"ともいえるようなスピードで建設作業が進められている。建設には、何千人もの兵士が作業員として動員されている模様だ。しかし、その全容は北朝鮮の国営メディアでも明らかにされていない。

ビル群、別荘風の宿泊施設、人工湖…

ただ、スカイサット衛星からの高精細画像に北朝鮮メディアによる地上からの画像を突き合わせてみると、建設現場の全長は4.5キロメートルを超え、ピラミッドのような形状をしたビル群、プライベートヴィラ(別荘風の宿泊施設)、人造湖などさまざまな施設が建設中であることがわかる。

衛星写真からは建物の多くがどちらかといえば細長い形をしていることまでしかわからないが、北朝鮮メディアの地上写真を見ると10階建ての高さにまで到達している建物が多い。完成時の収容人数は、1万人を少し下回るレベルから数万人程度になるとみられる。

衛星写真から見た「リゾート」(写真:北朝鮮ニュース)

「カルマ海岸観光地区は、金正恩体制になってから始まったプロジェクトとしては最も野心的なものだろう」。北朝鮮分析サイト「NK Econ Watch」を運営するカーティス・メルビン氏(米ジョンズ・ホプキンス大学研究員)は、今年3月に同観光地区のスカイサット衛星写真を分析した記事の中で、こう述べている。

本記事はNK News(北朝鮮ニュース)の翻訳記事です

このリゾート施設がどのような顧客層を想定しているのかについては、北朝鮮メディアにもまだ確たる情報は出ていない。ただ、同リゾート計画は韓国との融和に触れた金委員長による「新年の辞」の中で発表されたものであるため、軍事境界線の南側から観光客を誘致することが最大の目標になっているのではないか、との憶測を呼んでいる。

同リゾート施設は、少し前に近代化された葛麻(カルマ)空港と隣接しているだけではない(カルマ空港ではこれまでに1度しか国際便が飛んでいないが、その国際便は韓国からのものだった)。国連による経済制裁の対象になっていない数少ない産業のひとつが観光なのだ。

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