北朝鮮「巨大リゾート計画」は"非常識"の塊だ ビル170棟以上を猛スピードで建設中
チュア氏は、ウォンサンのリゾート施設は、建築スタイルからも韓国人観光客をターゲットにしたものであることがうかがえる、と言う。
「(韓国の財閥、現代グループで北朝鮮事業を手掛けるヒョンデアサンが開発した)金剛山のリゾート施設をビーチサイドで造っているようなものだ。街中に比べると、リゾート内では建物と建物の間にけっこうな空間が設けられており、高級感を出そうとしているのがわかる」
恐るべき建設スピード
プラネット・ラボ社による時系列の衛星写真によれば、カルマ海岸沿いのリゾート建設は今年1月初旬に始まったばかりだ。金委員長が「新年の辞」で計画を発表した、すぐ後のタイミングである。
また、時系列写真を見ると、現場作業員のための仮設住宅・施設が短期間で大量に造られ、リゾート建設現場を三方から取り囲んでいるのがわかる。
北朝鮮の大規模建設プロジェクトでは軍の兵士が動員され、作業現場に隣接した仮設住宅に収容されるケースが多い。北朝鮮国営の北朝鮮中央テレビ(KCTV)で5月に放送した映像を見ると、ウォンサンのリゾート建設現場でも同様のことが起きていることが確認できる。
さらに、建設作業のピッチも加速されつつあるようだ。KCTVによる4月の映像によると、スタジアム照明が現場を取り囲むように設置されており、24時間体制での作業が可能となっている。これも、北朝鮮の巨大建設プロジェクトによく見られる特徴だ。
公式な完工予定日はまだ発表されていないが、北朝鮮にいる複数の情報源から北朝鮮ニュースが今年3月に取材した情報によれば、朝鮮戦争休戦の65周年記念日となる今年7月27日までに完成する目標になっているという。当初1年以内での完工が予定されていた平壌・黎明(リョミョン)通りの高層マンション団地計画を上回るペースだ。