テスラ「モデル3」、やっと目標達成の舞台裏 マスクCEOがエンジニアを怒鳴り散らす

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先週の大掛かりな生産てこ入れは、従業員の就業規則の改定も伴った。週末シフト入りを義務付けた後、テスラは、週末勤務は最低でも1週間前に告知するという規則を撤回したと、従業員2人が明かした。

「マネジャーや監督責任者が、もし来なければ、会社の記録に残すと口頭で伝えて歩いていた」とテスラ従業員が先週ロイターに語った。

猛烈な生産ペースと長時間労働によって、燃え尽きてしまうのではないかと心配する従業員もいる。

ある従業員は、シフトの終了までではなく、その日の生産目標が達成されるまで、働き続けるよう指示されたと話す。

「明日から最大12時間働くつもりでいろと言われた」と、「モデルS」の生産ラインで働く従業員は2日、ロイターに語った。「今後は基本的に12時間勤務になる。週6日勤務になってしまう気がする」

テスラがネバダ州でパナソニックと共同運営するリチウムイオン電池工場「ギガファクトリー」の従業員は、生産目標達成のために、テスラは「どんな金額でも支払う」構えだと語った。テスラは5月、新たなバッテリー組み立てラインを欧州から貨物機で空輸し、ギガファクトリーに搬入している。

5000という数字が点滅

7月1日、日曜日の朝、テスラが自主目標として掲げた生産台数の達成期限から約5時間が経過した時点で、「モデル3」の組立ライン従業員から見えるところにあるモニターに、5000という数字が点滅した。生産5000台目となった「モデル3」のフロントガラスには、5000というサインが付けられていた。

テスラは2日、「モデル3」の一部生産を4日の米独立記念日に停止し、5日に生産再開すると発表。テスラは、8月までに「モデル3」の生産台数を週6000台に拡大する予定だ。

だが、長時間シフトに備えるよう指示された従業員は、生産ラインの作業員に負担を強いすぎれば、逆効果になりかねないと警告する。

高速で動く組立ラインによって、「従業員は次々と負傷することになり、(マスクCEOは)人手の問題に直面するだろう」とこの従業員は警鐘を鳴らす。「人が動ける速さには、限界がある」

(Alexandria Sage and Salvador Rodriguez 翻訳:山口香子、翻訳:下郡美紀)

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