”低医療費で長寿”の真実--崩壊前夜の「長野モデル」

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”低医療費で長寿”の真実--崩壊前夜の「長野モデル」

「元気で長生きできる方法は、まず長野県に見習うべきだ」--。首相在任時、お得意のワンフレーズでこう言い放ったのは小泉純一郎氏。同氏が長野県に着目したのは、医療費抑制を推し進める国にとって理想的だったためだ。

「低医療費で長寿」。医療関係者の間で「長野モデル」と呼ばれるその特徴を、一言で表すとこうなる。2007年度版『厚生労働白書』は医療費の地域差の要因を分析しているが、その中でも長野モデルを「医療費の適正化を推進していく上で一つのモデルを提供している」と絶賛している。長野県は高齢者1人当たりの老人医療費は全国で最も低く、平均在院日数も最短。他方で平均寿命は男性1位、女性5位と長い。

この長野モデルが関係者間で広く知られるようになったのは1997年のこと。厚生省(当時)に委託され、国民健康保険中央会がなぜ長野県は医療費が低いのに長寿県なのかを研究、発表した「市町村における医療費の背景要因に関する報告書」がきっかけだ。報告書は研究会委員により『PPK(ピンピンコロリ)のすすめ』という一般書となり、そのイメージが広まった。

同書によれば、「もしも全国が長野県並みの老人医療費になれば、2兆円以上の(医療費)節約になる」との思惑で厚生省は調査研究を行ったというが、実は「食生活や県民性など状況証拠こそ、さまざま挙げられたが、要因の決め打ちはできていない」(県幹部)報告にとどまっている。「その後に県独自でこうした大掛かりな調査は行っていない」(同)ため、今もって長野モデルの実態は必ずしも明らかではない。

それでも厚労省は一つの要素を強調している。それが在宅死亡率であり、「在宅死亡率の高い都道府県では老人医療費が安くなる傾向にある」(07年度版『厚生労働白書』)というものだ。厚労省は自宅等での死亡率を4割に引き上げることで、25年度には約5000億円削減できるとの試算を示したこともある。

実際90年代半ばまでは、長野県の在宅死率は群を抜いていた。ところが00年代に入ると急激に低下。年を追うごとに全国平均にサヤ寄せされている。それでも県内には例外的に高水準をキープし、むしろ上昇している地域がある。県東部の佐久市に位置するJA長野厚生連・佐久総合病院(佐久病院)がカバーする地域がそれに当たる。

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