大坪:確かに、すぐに使えるおカネがないというのは不安です。
岩城:そうですよね。少なくとも半年分の生活費くらいの備えがあったほうが気持ち的にも安心ですね。そして、おカネを増やすのに、「特別に良い方法」というのはありません。まず、どのくらいリスクが取れるのかを考えて、適切な場所で効率的に運用していくことです。まずは、具体的な数字で、今後どのくらいの貯蓄をすべきかを「見える化」してみましょう。
では「人生設計の基本公式」を使って、大坪ご夫妻のマネー戦略を考えてみましょう。人生設計の基本公式とは、ひとことでいえば「老後いくらで生活をしたいか」を考えて、それを実現するためには「今後手取り年収の何割を貯めるべきか(=必要貯蓄率)を計算するもの」です。年齢などは弾力的に設定できますし、いわゆるフルタイムワークなど第一線を引いてからも収入がある場合などにも対応しています。誰でも3分で計算できますので、詳しくは過去の記事「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」をご覧ください。初めての読者の方は、このままケーススタディを眺めつつ、読み進めてください。
大坪家は手取り年収の何割を貯める必要があるのか?
子ども1人(0歳)
家計の今後の平均手取り年収(Y)600万円
(今の手取り年収は700万円ほどですが、現在の手取り年収ではなく、残りの現役時代の年数も考え、これからもらえそうな年収を考えて記入します。大坪さんは、55歳時に2割給料が下がりますので今後の平均手取り年収は600万円とします。60歳定年後は65歳まで働きますが、手取り年収は220万円ほどに下がる予定ですので、合計1100万円は現在貯蓄額に算入します。)
老後生活比率(x)0.9倍(60歳以降、現役時代の何割程度の生活水準で暮らしたいかを設定します。大坪さんの場合、住宅ローンもありますし、子どもさんが成人するまで支出は大きくは減りませんので90%とします。)
年金額(P)270万円(ねんきん定期便などから計算・夫婦の合計額の見込み額)
現在資産額(A) 1800万円(今保有している貯金額は300万円ですが、教育費を600万円と想定してマイナスに。一時退職金1000万円をプラスし700万円。60歳~65歳までの継続雇用の手取り年収220万円×5年間=1100万円をプラスし1800万円にします。)
現役年数(a)7年(65歳までは12年ですが、60歳以降、収入が減ってから貯蓄をするのは大変ですので、現役年数は60歳までの7年として計算します。)
老後年数(b)47年(60歳以降95歳までで35年間ですが、妻が年下のため長めに、47年とします。)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら