日経平均小反発、EUの移民問題合意を好感 6月の日経平均は2カ月ぶり上昇、TOPIXは下落

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 6月29日、東京株式市場で日経平均は3日ぶりに小反発した。米国市場でのハイテク・金融株の上昇を支えに買いが先行したものの、米国への保護主義的な通商政策への根強い警戒感を背景に軟化した。写真は東京証券取引所で2月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 29日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は3日ぶりに小反発した。米国市場でのハイテク・金融株の上昇を支えに買いが先行したものの、米国への保護主義的な通商政策への根強い警戒感を背景に軟化した。ただEU(欧州連合)首脳会議で移民問題について合意に達したと伝わると欧州通貨が上昇。円売りが加速する中、対ドルでも円安が進行し、日本株の支えとなった。

TOPIXも小反発。取引時間中は買い手控えムードは強く、東証1部の売買代金は約2.3兆円にとどまった。セクター別では医薬品、繊維が上昇率上位にランクイン。下落率トップは石油石炭で、パルプ紙、陸運がこれに続いた。

貿易摩擦の懸念とEU首脳会談における好材料が綱引きとなる中、日経平均は一進一退の動きを続けた。月間では日経平均は約0.5%高と2カ月ぶりに上昇。TOPIXは約1.0%安と2カ月連続で下落した。

フィリップ証券リサーチ部長の庵原浩樹氏は「直近高値からの下落率を見る限り、米国やドイツ、上海株と比べ日本株は底堅い。6月14日から28日までの11営業日のうち9営業日で日銀はETF(上場投信)を約6300億円買い入れを行っている。世界的な景気の不透明感が意識される中、日本株が相対的に下げなかった一番大きな要因となっている」と話す。

きょう東証1部に新規上場したスプリックス<7030.T>は公開価格を7.8%上回る初値2587円を付けた後、上げ幅を拡大。終値は2777円だった。

個別銘柄ではシャープ<6753.T>が急伸。同社は29日、公募による新株発行と、これに伴う株式の売り出しを中止すると発表した。米中間の貿易摩擦などにより株式市場の不安定度が増しており、既存株主をはじめステークホルダーの利益の最大化には至らないと判断した。1株利益の希薄化や需給悪化の懸念が後退したと受け止めた買いが入った。

半面、ヒマラヤ<7514.T>が大幅安となり、年初来安値を更新した。同社が28日発表した2017年9月─5月期の第3・四半期累計の連結業績は、営業利益が前年比43.5%増の9億5300万円だった。通期の予想値に対する進捗率は53.2%と低調だったことが嫌気された。

東証1部の騰落数は、値上がり1167銘柄に対し、値下がりが829銘柄、変わらずが96銘柄だった。

日経平均<.N225>

終値     22304.51 +34.12

寄り付き   22314.47

安値/高値  22145.48─22332.82

 

TOPIX<.TOPX>

終値       1730.89 +3.89

寄り付き     1729.71

安値/高値    1717.88─1732.1

 

東証出来高(万株) 128824

東証売買代金(億円) 22986.15

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