日本株は本当に米中貿易戦争で崩れるのか 米国の共和党は決して「一枚岩」ではない
市場はトランプ大統領のハッタリを見抜いている?
先週のマーケットは、「二山」ならぬ「二谷」、つまり市況の下振れが2回あった。ともに主な要因は、通商問題だった。
まず一つめの谷を引き起こした材料は、日本時間で6月19日(火)朝8時半にやってきた。まるでゴジラでも上陸したような感じだが、実際には米国のドナルド・トランプ大統領が中国への報復措置として「これまでの500億ドル分の対中輸入に対する関税引き上げに、2000億ドル分を追加するようUSTR(米通商代表部)に検討を指示した」との報道だった。
これまでの米中間の通商問題を巡る交渉においては、両国の閣僚による協議なども行なわれてきた。だが、この追加分検討の報道で「中国側も態度をかなり硬化させた」との観測が伝わり市場の懸念を呼んで、主要国の株価下落が引き起こされた。
しかし当日は、米株式市場では「従来型の産業はともかくネット関連企業などは通商問題の悪影響が小さい」としてナスダック総合指数は下落が限定的で、その翌日6月20日(水)には史上最高値を更新した。また通常は、内外株式市場が波乱に見舞われると、いわゆる「リスク回避のための円高」が大幅に進行することもあったが、今回はどれほど円高に振れても、1ドル=109円台半ばまでにとどまった。つまり、市場の動きは総じて下振れしても冷静な面があったと言えよう。
この背景には、トランプ大統領が本気で2000億ドル分の対中輸出に追加関税を課すとは考えにくく、「一種のブラフ(脅し)だ、交渉術の1つに過ぎない」、と市場参加者が見抜いているからなのではないか。
筆者も、トランプ大統領の今回の動きは、トランプだけに、ポーカーゲームのハッタリに似ているように感じている。つまり、対中制裁を1000億ドル追加する可能性がある、ということは、すでにトランプ政権は4月に表明していた。今回「1000億ドル追加する」と再度表明しても、既知のことだとして中国は動じないと大統領は考えたのではないだろうか。そこで中国をビビらせるために、ポーカーの賭けのチップを倍乗せし、2000億ドルにした(そのため、具体的な項目の詰めは、全くかほとんどなされていない)と推察する。
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