ゼネコンの株主総会に垣間見た「謝罪の流儀」 無風の大林と紛糾の大成、明暗を分けた理由

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大成建設の村田誉之社長は、株主からの批判を受けて頭を下げた(撮影:田所千代美)

今年3月には顧問の逮捕について「到底承服いたしかねる」と強く反発し、「言うべきことは裁判で主張していく」(大成建設関係者)。反省の色が見えないと言われても、大成建設からすればそもそも法律違反をしていないのだから、何を反省するのかというスタンスなのだろう。

とはいえ、株主からの怒濤の質問に、とうとう村田社長も「嫌疑を受けた(結果、世間をお騒がせした)ことについては反省しております。申し訳ありませんでした」と頭を下げる羽目になった。

問われる不祥事の後始末

平身低頭に振る舞い株主総会を無風で終えた大林組と、自社の主張を貫いた結果、冒頭から紛糾した大成建設。株主に対する姿勢として、どちらが正しかったのか。

株主総会を平穏裏に終えることは、必ずしも株主が納得していることを意味しない。大林組の株主総会に参加した女性は「また(談合は)起こりますよ」と語る。夫婦で参加したという株主も「表に出ないだけで、どこもやっている」とバッサリ。厳格な再発防止策についても「結局同じことの繰り返し。建設業はそれ(談合)抜きにはやっていけないさ」と、あきらめにも似た感情をにじませた。

他方で、自社の主張を曲げない大成建設の姿勢には理解を示す株主もいる。鹿島と大成建設の株主総会に参加した男性は「正しいと思うなら、真実を裁判で明らかにしてほしい。謝罪がなくても問題だとは思わない」と、無理に謝罪する必要はないとした。大成建設の総会に参加した女性株主は「しっかり検討した結果、違反でないという結論に達したなら、それでいいのでは」と話す。「厳しいことを言う人もいたけど、それだけ会社によくなってほしいということ」(同)。実際、質問の中で「大成ファンとして」事件に関する懸念を表明する株主もいた。

株主との対話に、謝罪はどこまで必要か。株主総会の活性化が取りざたされる中、株主に対する謝罪の流儀ももっと議論されていいはずだ。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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