相次ぐ談合疑惑、問題はゼネコンだけなのか リニアや外環道の工事で浮かび上がった課題
「色々とお騒がせして、どうもすみません」――。
今年に入り、複数のゼネコン関係者からこうした言葉を耳にした。特に注目を集めたのが談合疑惑だ。昨年はNEXCO東日本・中日本が東京外かく環状道路(外環道)工事の入札を中止。年末にはリニア中央新幹線の建設工事をめぐる入札談合の疑いが浮上。東京地検特捜部や公正取引委員会が大手ゼネコン各社を家宅捜索し、トップニュースをさらった。
2月13日発売の『週刊東洋経済』は「ゼネコン 絶頂の裏側」を特集。相次ぎ浮上した談合疑惑の深層に切り込んでいる。
受注前の情報交換が問題に
「あれを『談合』と言われたら厳しいな」。リニアの話題を振ると、ある中堅ゼネコン幹部はこうこぼした。「われわれだけではリニアは建設できない。やっぱりスーパーゼネコンがいないと」。
スーパーゼネコンとは、日本の建設業界でトップに君臨する大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店の5社を指す。今回浮上したリニアの談合疑惑では、トンネルなどの土木事業を手掛けていない竹中を除いた4社が家宅捜索を受けた。
焦点になっているのは、受注前に工事に関する情報交換をしていたことだ。大林組は公正取引委員会に独占禁止法の課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づいて談合(受注調整)を申告した。清水建設も「この情報交換が談合だといわれると、認めざるをえない」と言う。一方で、鹿島と大成建設は「必要な情報交換であり、談合ではない」と否認している。
スーパーゼネコン各社は2005年末に「談合決別宣言」を出した。当時、談合事件が続発し、独占禁止法の罰則が強化された。それにもかかわらず、なぜリニア工事で疑惑が浮上したのか。
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