絶頂のゼネコンに起こりうる「稼げない未来」 利益はバブル期の2倍だが課題も山積

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好調はいつまで続くのか(写真:毎日新聞社/アフロ、デザイン:熊谷直美)

「あまり大きな声では言えませんが、工事の依頼を断ることもけっこうありますよ」

とあるゼネコン(総合建設会社)の幹部は明かす。

「神風が吹いた」

スーパーゼネコンと呼ばれる大手のうち、上場している鹿島、大成建設、清水建設、大林組の前年度(2017年3月期)における当期純利益の合計は約3900億円。バブル期の恩恵があった1992年3月期の約1600億円の2倍以上だ。業界の頂点に君臨するスーパーゼネコンは言わずもがな、準大手でも最高益が続出している。

きっかけは、2011年に発生した東日本大震災だ。東北地方での復興事業を契機に建設需要が急回復。さらに東京五輪の開催決定や景気の拡大などにより、民間企業に開発や設備投資の機運が広まってくると、ゼネコンは一気に息を吹き返した。『週刊東洋経済』は2月13日発売号で「ゼネコン 絶頂の裏側」を特集。一見順風満帆に見えるゼネコンの実情に迫っている。

建設経済研究所の試算によれば、建設投資は2010年度の41兆円から2013年度には一気に51兆円へと回復し、その後も50兆円を上回って推移している。とはいえ、ピークだった1992年の84兆円と比べると、市場は4割も縮小した。にもかかわらず、バブル期を超える利益を上げられているのはなぜなのか。

週刊東洋経済2月13日発売号(2月17日号)の特集は「ゼネコン絶頂の裏側」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

最大の理由は、工事の採算改善だ。冬の時代が長く続いた建設業界。かつては「社員や下請け企業を遊ばせるよりマシ」と赤字覚悟での受注が当然のように横行していたが、今は「割に合わない工事は受けない」と態度が豹変した。

バブル崩壊後の建設不況のあおりを受けて、ゼネコン各社は規模の縮小を余儀なくされ、建設業の就業者数もピークから約3割も減っていた。そこに降って沸いたような好況が訪れた。技術者をフル稼働させても受注しきれないほど案件が転がり込み、採算の良い案件を選んで受注できるようになった。

東日本大震災前は大手でも4%台にまで沈むこともあった売上高総利益率(粗利)。それが今や2ケタ以上が当たり前。過去に受注した赤字工事の完工も相次ぎ、利益を押し下げる要素が消えたことも追い風だ。大成建設や鹿島の土木部門など、10%台後半や20%の大台に乗るゼネコンも出てきている。無理に受注しなくても過去にない好業績を上げている。

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