絶頂のゼネコンに起こりうる「稼げない未来」 利益はバブル期の2倍だが課題も山積

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割を食うのは発注者だ。ゼネコン同士を価格競争させていた民間企業が、今度はゼネコンに足元を見られる格好となり、急いで建設したいなら「さらなるコストアップをお願いせざるを得ない」(大手ゼネコン首脳)など、力関係が完全に逆転した。

採算の劣るマンション工事は敬遠されがちだ(撮影:今井康一)

「建設費の高騰を受けて、自社の利益を削った」(大手マンションデベロッパー)という嘆きの声も聞こえる。だが「ゼネコン各社は過去にさんざん赤字を出したのだから、これぐらい稼いでも文句は言われないはずだ」と大手ゼネコン幹部は意に介さない。

手持ちの工事量は過去最高水準で、一部の案件は五輪後まで着工を延期しているようだ。当面食いっぱぐれる心配はないと考えているのか、「私たちは『活況は五輪まで』などと言った覚えはない」(大手ゼネコン幹部)という強気の発言も相次ぐ。

先は意外に長くない?

とはいえ、足元では変化の兆しが見て取れる。

ゼネコン各社の業績の伸びは鈍化しており、今月より順次発表されている2018年3月期第3四半期決算でも、減益となった企業が相次ぐ。「前期までは証券アナリストからの問い合わせがひっきりなしだったが、今期からは一気に減った」(中堅ゼネコン経理担当)。

地方に地盤を置く中堅ゼネコンの業況はあまり良くない。地域別の建設投資を見ると、大きく伸びているのは南関東(埼玉、千葉、東京、神奈川)のみ。再開発や五輪といった大工事も都市部に集中している。

「地元では案件が少ないため首都圏に進出したが、ほかの地域の同業者も同じことを考えて進出してきている。そのため競争が激化している」(北陸地方を拠点とするゼネコン)。五輪関連の需要が一巡すると首都圏の建設投資は鈍ることが予想され、なりを潜めていたダンピングが始まる可能性は否定できない。

足元ではリニア中央新幹線や東京外かく環状道路(外環道)の工事をめぐる談合疑惑に揺れ、建設現場の高齢化や大量引退も控える。長期的に見れば国内の人口は減少していき、それに比例して建設市場も縮小するため、建設以外の収益柱の育成も急務。我が世の春を謳歌するゼネコンだが、解決するべき課題もまた山積みだ。

週刊東洋経済2月17日号(2月13日発売)の特集は「ゼネコン絶頂の裏側」です。
一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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