ゼネコンの株主総会に垣間見た「謝罪の流儀」 無風の大林と紛糾の大成、明暗を分けた理由

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大林組の蓮輪賢治社長にとっては、今回の株主総会がデビュー戦となった(撮影:梅谷秀司)

大林組は4社の中で最も火消し対応が徹底していた。事件発覚から1カ月後の今年1月下旬には当時の白石達社長が辞任を発表し、3月には起訴を受けて社長以下役員らが報酬の返上を表明。さらに5月には同業他社から「やりすぎだ」と揶揄されるほど厳格な再発防止策を策定した。総会参加後、ある男性株主は「再発防止策を粛々とやってくれればいい」と答えた。

足元の業績も、株主にとって満足の行く水準に達している。前2018年3月期は売上高、営業利益が過去最高。受注済みだが完工していない工事(繰り越し工事)の残高も1.7兆円と、直近の単体売上高の約1.5倍にも上る。蓮輪社長も株主からの質問に対して「(リニア談合の)業績への影響はない」と関西弁交じりの口調で言い切った。もともと施工キャパシティはいっぱいで、一時的に公共工事から締め出されても業績への影響は限定的という見方だ。

荒れ模様だった大成建設の総会

新社長のデビュー戦となった株主総会だが、大林組は目立ったトラブルもなく無事に乗り切った。同じく清水建設も冒頭で談合疑惑に関する謝罪をしたが、談合疑惑に関する質問はほとんどなく、ことさらに波風も立たず幕を閉じた。

ところが、2日後の28日に新宿の本社で行われた大成建設の株主総会は、打って変わって不穏な空気に包まれた。

大成建設の株主総会が開かれたのは6月28日。出席株主は260人と前回より47人減った。所要時間は1時間48分と昨年より23分長かった(記者撮影)

「(社長が)引責辞任をした社もある中で、(大成は)お詫びだけで済ますのか」「大林組は冒頭で役員全員が頭を下げた。(大成はそれをせず)話を聞いていても全く反省の色が見えない」「裁判で負けたらどれだけの損害が出るのか」「再発防止策の具体的な内容は」。株主からは談合疑惑に関する手厳しい質問が相次ぐ。その勢いは、事業展開に関する質問をしようとした株主が「コンプライアンス(に関する質問)とは外れて申し訳ないのですが……」と萎縮してしまうほどだ。

談合疑惑について、大成建設は大林組とは異なる経緯をたどった。「しっかりと社内で検証し、弁護士とも相談した結果、独占禁止法違反にあたらないと判断した」(大成建設の村田誉之社長)からだ。

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