ゼネコンの株主総会に垣間見た「謝罪の流儀」 無風の大林と紛糾の大成、明暗を分けた理由
「株主の皆様に多大なご心配をおかけしておりますこと、心から深くお詫び申し上げます」――。
目の前の株主に深々と頭を下げたのは、大林組の蓮輪賢治社長。だが心なしか、会場には穏やかな雰囲気が漂っていたという。
無風だった大林組の株主総会
リニア中央新幹線をめぐる談合疑惑に揺れた大手ゼネコン4社。6月26日に大林組と鹿島、6月28日に大成建設と清水建設の株主総会が開催された。昨年12月の公正取引委員会による立ち入り検査や今年3月の東京地検特捜部による起訴を経て、騒動後初の株主総会となった。
株主にとっての関心は、経営陣の監督責任だけでない。立ち入り検査や起訴を受け、国土交通省やほぼすべての都道府県、さらに市町村が4社に対して指名停止処分を下した。一部では入札の辞退や契約済みの工事の解除も相次ぐなど、どこまで余波が及ぶかも見通せない。そんな状況を受け、株主がどんな反応を示すのかが注目されていた。
ここまで明暗が分かれた株主総会も珍しい。6月26日、東京・品川に構える大林組本社で行われた株主総会は、結論から言えば「無風」だった。冒頭で蓮輪社長が謝罪こそしたものの、声を荒らげる株主も、質疑応答で経営陣の責任を問いただす株主もいなかった。肝心の質疑応答では、株主還元や社外取締役の意義、役員への女性の登用、海外展開の見通しなど、建設業以外でも話題に上りそうな内容ばかりが続いた。
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