週刊東洋経済 最新号を読む(5/23号)
東洋経済オンラインとは
ビジネス

1本10億円のワインが誕生する「合理的理由」 なぜこれほど「ピンからキリまで」なのか

8分で読める
  • 井上 雅夫 オリーブプロジェクトJAPAN代表取締役、醸造家、ワイナリーコンサルタント
2/4 PAGES
3/4 PAGES

オークチップとは、オークの樽材をチップ状にしたもの、すなわち木片のことです。この木片をまとめて袋に入れて(目安としてリッター当たりオークチップが4g)ティーバッグのようにワインの入ったステンレスタンクに投入するのです。すると1週間くらいで少しずつ樽香がワインに溶け込むというわけです。

大金を払って樽を購入しなくても、この「オークチップ」さえあれば、ステンレスタンクの中で眠るワインがお安く、そして手っ取り早く樽香のついたワインへと変身するのです。

やや人工的に感じるかもしれないが…

もちろん本物の樽の中でじっくり時間をかけてつけられた樽香とは違い、やや人工的な樽香のように感じますが、それはそれで致し方ないことかもしれません。逆に、そうでなければ樽メーカーだって困ってしまうことになるでしょう。

この「オークチップ」、日本では今までワインでの使用は認められていませんでしたが、今年の4月に使用が解禁になりました。今後は「オークチップ」で樽香をつけた、低価格の日本ワインが出回ることになるかもしれません。

新樽を使う、使わないで製造コストが1本に付き「500円」も違う、それってすごいですよね!と言いたいところですが、こんな声も聞こえてきそうです。

「新樽を使う、使わないで製造コストが違ってくるのは当然わかるけど、同じ品種で同じヴィンテージのワインなのに、片方は5千円で、もう片方は5万円。この差って、「500円」うんぬんじゃないと思うけど、いったいどういうこと?」

鋭いご指摘ですね。たしかに5千円クラスのワインならば、新樽を使っている可能性は大ですし、そもそも価格差が4万円以上もあるのですから、「500円」分の差が、あろうがなかろうが関係ないわけです。

いったん原料ブドウの話に戻りますが、たとえば1本の樹に成らせるブドウの量を極端に制限したり(量が減るほどブドウ1粒あたりに行きわたる養分が凝縮されます)、搾汁率(ブドウまたはもろみを搾ってどれだけの果汁または赤ワインを取るか)を低く抑えたりすることで、できるワインの量が少ない分、当然コストは高くなります。それでも数万円の差が生まれる理由としては、新樽使用の有無同様、考えにくいものですよね。

次ページが続きます:
【価格は単純にコストを積み上げて算出されるものではない】

4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象