さらに困ったことに、ご主人の給料が振り込まれるメイン口座のキャッシュカードは本人が持っていて、お給料日に生活費を引き出せないというのです。苦肉の策として、宏美さんは、インターネットバンキングでおカネをご自分の口座に移し替えて管理しているそうです。これで毎月の最低限の現金はなんとか確保できるのですが、結局多額のカード支払いで毎月赤字が続いています。
はっきり申し上げて、ご主人の金銭感覚は大問題です。バブル世代は消費に躊躇がない人が多いのですが、それにしてもひどすぎます。支出の中でも大きな割合を占める居住費が長年かかっていないことで、すっかり安心してしまい、真剣におカネに向き合おうとしなかったのかもしれません。しっかり者の宏美さんに甘え切り、自分勝手に浪費を続けてきたように思えます。もう少し、早い段階で、話し合いができればよかったですが残念です。
一方、宏美さんは、パート収入で家計を助けながらよく頑張ってきたと思います。家計を顧みない夫に対して、さぞかし腹立たしかったでしょうし、幻滅もしたでしょう。でももう我慢する必要はありません。今後、夫の改心と協力が得られない場合は、「三行半(みくだりはん)」を突きつけても良いのではないでしょうか! しかし、まあ、最終通告をする前に、今一度、家計を立て直す努力をしてみましょう。
クレジットカードとキャッシュカードを取り上げる
まず、宏美さんがすべきは、夫からクレジットカードとキャッシュカードを取り上げることです。いきなり取り上げるのではなく、現実的な数字を提示して説得しましょう。
今のままの生活を続けていくとどうなるか、数字で「見える化」しましょう。これは、いつもの「人生設計の基本公式」で知ることができます。「人生設計の基本公式」とは、ひとことで言えば老後(通常65歳)に「現役時代の何割の生活水準で暮らすか」(通常は7割)を決め、それまでに「手取り年収の何割を貯めるべきか」(=必要貯蓄率)を計算するものです。詳しくは、過去の記事「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」をご覧ください。誰でも簡単に計算することができますので、ぜひ、ご自身の「必要貯蓄率」を求めて見てください。
今回は、この公式を応用編として使ってみましょう。まずは、大森家の「必要貯蓄率」を求めてみます。
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