ドラッカーの経営原則は株投資にも活かせる 顧客満足や従業員など無形資産にフォーカス

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――システムのスコアと株価との相関関係は、確認できましたか。

正の相関が見られる。2012年からのデータがあるが、スコアを元に選択した銘柄は、すべての年で市場平均の株価騰落率に勝っていた。

――投資信託の銘柄選択に活用する株式インデックス(指数)にするなど、ビジネス面の展開も考えられますね。

インデックスの商品化は考えている。現在、いくつかのグローバルな大手投資会社と話し合っており、今年中には実現したい。米国以外でも欧州や日本などある程度信頼できるデータがあるところでは、同様の展開ができるだろう。

ESG投資よりも対象とする領域が広い

――非財務情報を重視するという意味では、環境、社会、企業統治に配慮する企業を重視して選別するESG投資とも通じるものを感じます。

顧客満足や従業員エンゲージメント、イノベーションといった領域の計測は、ESG投資では行われていない。われわれのシステムにはアドバンテージがある。このシステムを使うことにより、投資家と経営者の対話がより建設的になればいい。

米国ではアクティビスト(物言う株主)がどんどん登場しているが、彼らのやり方は的を絞らない鈍器のようなものだ。公の場に出てくる対話というのは、アクティビストは「もっと株主還元しろ」、経営者は「長期戦略のために投資する」というものが多く、あまりかみ合わない話だ。われわれのシステムを使うことにより、投資家もより的確な質問をして、経営者もよりよい回答ができるようになるだろう。

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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