ドラッカーの経営原則は株投資にも活かせる 顧客満足や従業員など無形資産にフォーカス

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ザッカリー・ファースト(Zachary First)/米ハーバード大学で修士号、博士号取得(高等教育学)。2007年からドラッカー研究所に所属し、企業コンサルティングや組織戦略などに従事(記者撮影)

――無形資産のデータは計測が難しく、入手しづらいのではないでしょうか。

われわれは、3年間をかけて適切なデータ提供会社を探した。ただ無形のデータは本当に計測するのが難しく、5年以上さかのぼったデータが存在しない状況だ。

今回のシステムでは、ドラッカーの5つの原則である「顧客満足」「従業員エンゲージメント・人材開発」「イノベーション」「社会的責任」「財務力」にかかわる37種類のデータを入手し、活用している。そのうち、特に入手が難しかったのが、顧客満足と従業員エンゲージメント・人材開発のデータだ。

われわれが対象とする大企業は、自社の顧客満足や従業員エンゲージメントについてある程度把握している。ただ、それは社外秘であり、他社との比較もできない。われわれは米国でJ.D.パワー社と提携することにより、顧客満足度のデータや知識を得ることができた。従業員エンゲージメントに関しては、米国のグラスドアというデータ提供会社と提携した。従業員が職場をどう思っているかなどを調査する企業だ。

ランキングで関心を高める

――米国企業マネジメント・ランキングとは、要するにそれらのデータをスコア化したものですね。

約700の米国上場企業を対象にスコアをつけた。当研究所内では2012年にさかのぼってそのデータを持っており、約700の企業が2012年からどのように変遷してきたかを把握している。2017年末にランキング形式で初めて発表した。人間はみな誰が(どこが)下がったか、上がったかというランキングが大好きだ。ランキングはこの取り組みに対する関心を高めるのが狙いだ。

――ランキング以外の活用方法は?

会社の経営を改善させたいと思っている経営者に、データ提供などによるコンサルティングを行いたいと思っている。ベンチマークデータの提供で経営を改善させたりするなどの方法が考えられる。さらに、このシステムを基に、投資家が収益を上げられるようにしたい。われわれの計測結果が企業の株価と関係していることがわかれば、ドラッカーの原則に対する、みんなの関心も集まるだろう。

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