ところが間借りカレー店をやると決めた直後、嶋尾さんはお腹に子どもを宿していることに気づく。それでも「とりあえず半年間やってみよう」とカレー店の開業を決意する。
「もともと料理は得意でしたが、オーナーがたまに作ってくれるヘルシーなスパイスカレーがおいしくて、そこからカレーに興味を持ちました。身体にいいカレーというのは、妊娠したことで、これからは自分が食べたものがすべて赤ちゃんの身になるんだ、という思いも大きかったですね」
店の営業は平均週3、4日
また、店ではよくラム料理を出していて、ラム料理の可能性や面白さも知っていた。こうして、他店にはない唯一無二の「ラムステーキカレー」が誕生する。間借りカレー店「スパイス125」は、2016年3月にオープンした。
現在、嶋尾さんは1歳の娘の子育てをしながら、女優業と間借りカレー店の営業を掛け持ちしている。娘の保育園の送迎や入浴、寝かしつけ、家族の食事作りなどの合間に、カレーの仕込みや仕入れをし、店に立ち、時には夫が近くで営む酒屋の店頭にも立つ。
逆に夫もカレーの食材の仕入れや保育園のお迎えを手伝う。そして子どもの行事や女優業が入ったときは、カレー屋は休む。店の営業は、平均週3、4日程度だ。
「カレー営業は不定休ということもあり、収支はホクホクというわけではありません。ただ、トータルではなんとか黒字にはなっています」(嶋尾さん)
間借りカレーのメリットの1つが、開業ハードルの低さだ。店のオーナーに間借り料を払う必要はあるが、物件を丸々借りるのに比べればはるかに安い。さらには店の調理器具や食器も使えるとなると、開業資金は材料費や立て看板代などの数万円程度で済む。オーナー側も、営業時間外の店を生かして賃料を得られる。
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