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安倍3選を見越して作られた「骨太方針2018」 財政再建は5年先送りでポスト安倍の重荷に

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  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授
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加えて、2021年度までなら、社会保障関係費を無理に圧縮しようとして政府・与党内で厳しい対立を引き起こさなくても、財政収支を大きく悪化させずに済む。そんな思惑も相まって、「骨太方針2018」では、「歳出改革の目安」として数値目標を設定しなかった。その顛末は、東洋経済オンライン本連載の拙稿「骨太方針から「数値目標」が削除された真意」で触れた通りである。

ただ、数値目標が消えた「骨太方針2018」なのだが、「魂は細部に宿る」というべきか、数字はないが、数字があるも同然のような記述がある。

社会保障関係費については「2020年度に向けてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏まえ、2019年度以降、その方針を2021年度まで継続する」(「骨太方針2018」より引用)とした。

そのうえこの文末には「高齢化による増加分は人口構造の変化に伴う変動分及び年金スライド分からなることとされており、人口構造の変化に伴う変動分については当該年度における高齢者数の伸びの見込みを踏まえた増加分、年金スライド分については実績をそれぞれ反映することとする。これにより、これまで3年間と同様の歳出改革努力を継続する」(同)と脚注がついている。

社会保障関係費の「実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」という本文の記述だけではあいまいさが残るとして、脚注にその定義を明示した。「当該年度における高齢者数の伸びの見込みを踏まえた増加分」とは、本稿で前述した高齢者人口増加率が2020年と2021年に低くなることを意図している。

これまでの数値目標の趣旨を今後3年間継続か

金額が明示された数値目標はないのだが、脚注までついた詳細な記述を読むと、これまでの数値目標の趣旨を、今後3年間継続することを明らかにしたようだ。

歳出改革の具体化にむけた詰めの議論は、早速、今年末に最初の山場を迎える。そこで、この文言の深い意味が問われることになるだろう。

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