安倍3選を見越して作られた「骨太方針2018」

財政再建は5年先送りでポスト安倍の重荷に

この基盤強化期間において、財政健全化目標の達成に向けた取り組みの進捗状況を確認するために、「骨太方針2018」では中間指標を設定した。2021年度における中間指標は3つ置いた。1つは、2017年度実績を起点とし、2021年度の基礎的財政収支赤字の対GDP比を実質的に半減、つまり、1.5%程度とする。2つ目は政府債務残高対GDP比を180%台前半に引き下げる。そして3つ目は(支出に利払費を含む)財政収支赤字対GDP比を3%以下とする。

これらは、懸命に努力しなければ達成できない中間指標なのか。それとも、けっこう楽に達成できそうなものなのか。

3つのうち2つは無理なく達成できる水準?

内閣府が2018年1月に出した「中長期の経済財政に関する試算」(以下、中長期試算)では、2020年代に名目成長率が3.5%前後で推移すると見込んだ「成長実現ケース」で、2019年10月に消費税率を10%とし、2019年度以降に追加の歳出改革は行わないという前提で、基礎的財政収支赤字対GDP比は、2021年度に1.7%という試算結果となっていた。

つまり、2019年10月に消費税率を10%とし、2019年度以降に追加の歳出改革を行わないと、1つ目の中間指標は達成できない。1つ目の中間指標を達成するには、国と地方合わせて約1兆円程度の収支改善が必要となる。追加の増税を考えないなら、約1兆円程度の歳出抑制の努力が必要となる。それなりに改革努力が求められる。

では、残りの中間指標はどうか。中長期試算では、成長実現ケースで、2021年度の政府債務残高対GDP比は178.5%、財政収支赤字対GDP比は2.6%と試算されている。つまり、2019年10月に消費税率を10%とし、名目成長率が3.5%前後で推移すれば、2019年度以降に追加の歳出改革は行わなくても、中間指標は達成できてしまうのだ。

安倍首相が自民党総裁に3選されれば、2021年までの任期となる。その場合、2021年度の中間指標は、安倍政権のいわば最後の通知表となる。その通知表が、悪い成績だったとなると、花道を汚すことになりかねない。1つ目の中間指標は、2025年度の基礎的財政収支黒字化の達成と直結しているから、これを緩めると2022年度以降の政権が苦しくなる。

しかし、基礎的財政収支黒字化の達成と直結しない残り2つの指標は、あたかも無理をしなくても達成できそうな水準に設定しているようである。1つ目の中間指標が達成できなかったとしても、残り2つの指標が達成できたのだから、「よくがんばった」と言ってもらえるのかもしれない。

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