安倍首相の狙いは「総裁選の消化試合化」だ なぜ国会の会期を大幅に延長したのか

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今後の政治日程からみれば、国会閉幕以降は9月に予定される自民党総裁選が唯一最大の政治イベントとなる。出馬を目指す首相や、石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長、野田聖子総務相の3氏はそろって「総裁選への対応は国会閉幕後」と繰り返してきたこともあり、それぞれの正式出馬表明は7月23日以降となる見通しだ。

そうした中、総裁3選を目指す首相は16日の民放テレビ番組で総裁選への対応を問われると「東京近辺でセミの声がうるさいなと感じられる状況になったころ」との表現で真夏を迎える7月下旬の出馬表明を示唆した。

首相は毎年、通常国会閉幕に合わせて記者会見するのが通例で、今回は会期末が日曜日のため翌日の7月23日午後に記者会見するとみられている。そこで首相は通常国会の成果を踏まえて夏以降の政権運営の方針を述べる予定だが、総裁選への対応が最大の焦点となる。これについて首相サイドは、「記者団からの質問を受けて総裁選出馬を正式表明するのでは」と漏らす。

首相は会見でこれまでの内政・外交での「実績と成果」をアピールしたうえで、「アベノミクスの完成」「日朝首脳会談による拉致問題解決」「憲法改正の実現」などを掲げ、「公約実現のため3選を目指したい」と決意表明するとのシナリオだ。

これに対し、首相の有力対抗馬として出馬を目指す石破氏も、首相に合わせて出馬表明する構えだ。また、野田氏も「7月下旬か8月初めに政権構想を発表する」と明言し、20人の推薦人確保にも自信を示している。その一方で、対応が注目される岸田氏は「国会閉幕まで申し上げない」と出馬辞退も選択肢とする態度を続けている。すでに同氏周辺では7月26日の同派研修会で出馬表明し、併せて政権構想を発表する段取りが検討されているが、「岸田氏が出るかどうかは最後まで分からない」(自民幹部)のが実態だ。

迷う岸田氏は派閥研修会での出馬表明も模索

「もり・かけ疑惑」など安倍政権による不祥事連発で、5月連休前後には「3選の危機」もささやかれた首相だが、10日の新潟県知事選勝利で態勢を立て直して以来、すべてが3選戦略ともみえる政局運営を押し進めている。

首相サイドが狙うのは「総裁選を実質的な首相の信任投票にする」(側近)ことだ。支持議員が限られる石破、野田両氏が相手なら、党内の大半の派閥の支持を取り付け、地方票も含めて圧倒的な大差で3選が決まる可能性が大きい。ただ、岸田氏が出馬すると構図が一変する。党内第3派閥の竹下派などが岸田氏支持に回れば議員と地方党員が有権者の1回戦では決着がつかず、国会議員(405人)と都道府県代表(47人)による決選投票にもつれ込む可能性も残るからだ。

首相は18日夜、都内の日本料理店に岸田氏を招いて2時間余り会談した。会談後、岸田氏は記者団に「北朝鮮、終盤国会、(自民党)総裁選の話」と説明したが、具体的やり取りは「ノーコメント」と口を閉ざした。両氏だけの密談は4月16日夜の都内の焼き肉店以来で、双方が「一切口外しない」と約束していることもあって外部には漏れてこない。

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