マクラーレンの驚異的成長を導いた力の正体 ランボルギーニに並び、フェラーリを追う

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池田:そのほかにGTシリーズがありますが、これはレース専用という理解で良いのですよね?

ビッグス:GT3とGT4はおっしゃるとおりです。

池田:経営戦略を伺います。北イングランドにカーボンを扱う新工場を立ち上げる計画を表明しておられますが、従来の工場でもカーボンシャシーの生産はしていたはずです。新工場ができることによって新たに可能になることは何ですか?

ビッグス:確かに現在の工場でもカーボンシャシーの生産をしています。しかし現在のカーボンは素材に関してライセンスによる外部調達となっています。しかし今後のことを考えると、カーボン素材に関しては内製化へ移行していきたいと考えています。それがわれわれの利益に結び付きます。工場新設の目的は、カーボンシャシーを含むあらゆるカーボンを自力で生産できるようになっていくことが競争力につながっていくところにあります。

池田:トラック22計画について教えてください。私は2022年までに15モデルをデビューさせ、かつその半数をハイブリッドモデルにすると理解をしています。それによってマクラーレンがどんな成果を得ようとしているのか、数値目標も含めて説明いただけますか?

最先端テクノロジーを取り入れつつも、エートスは変わらない(撮影:尾形文繁)

ビッグス:トラック22についてはおっしゃるとおり、われわれが成長していくために策定されたプランです。しかし、その成長は勝手な計画ではなく、市場のニーズに応えていくということでもあります。トラック22では、スポーツカーシリーズ、スーパーシリーズ、アルティメットシリーズそれぞれに新製品を投入し、現在年産約3300台の販売台数を4500から5000台まで増やすことを目標としています。

そして50%はハイブリッドです。派生車種も含めて15車種を展開しますが、すでにデビューしている720Sや570スパイダー、そして今回発表したセナはこれの計画に含まれています。われわれは1世代の適正なライフインターバルを5年と考えています。

フェラーリの背中を追い始めたマクラーレン

インタビューを終えて、振り返ると、マクラーレンの意気盛んさに改めて驚かざるをえない。3300台という販売台数に満足することなく新たに5000台の目標を掲げてモデルラインを追加していく。すでに捕捉済みのランボルギーニではなく。8400台でトップを走るフェラーリの背中を追い始めたと見ていいだろう。

追われるフェラーリはこれまでの生産台数を抑えて希少性を維持する戦略を方向転換し、新たに9000台の目標を設定した。少なからずマクラーレンを脅威と感じているのだろう。もちろんランボルギーニもそのまま座して待つわけではあるまい。さらにマクラーレンの成功を横目に、かつてF1の名門コンストラクターだったブラバムが新型スーパーカー「BT62」を発表したばかりだ。スーパーカーリーグの新たな戦国時代が始まろうとしている。

池田 直渡 グラニテ代表

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いけだ なおと / Naoto Ikeda

1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(『カー・マガジン』『オートメンテナンス』『オートカー・ジャパン』)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。

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