マクラーレンの驚異的成長を導いた力の正体 ランボルギーニに並び、フェラーリを追う

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池田:……。それでは、時間も限られているので、少し質問の方向を変えましょう。2010年にマクラーレン・カーズからマクラーレン・オートモーティブに組織変更した理由を教えてください。

ビッグス:マクラーレン・カーズは理想のクルマを少量生産することを目指した会社でした。マクラーレン・オートモーティブは、もっと明確なビジネスプランと長期的戦略を持つ自動車メーカーとして出発しています。現在は「トラック22」という戦略プランを用意して、それに基づいた開発生産やサービスを提供しています。最も大きな違いは、マクラーレン・オートモーティブに生まれ変わって以降、スーパーカーのブランドを確立し、長期的にそれを育てていくという企業としての明確な目標ができたことです。

3つのシリーズの違いは?

池田:なるほど。ワンオフ的なメーカーからより洗練されたビジネスとしての自動車メーカーへ生まれ変わったと。そういう違いがあるのですね。現在マクラーレンには3つのシリーズがありますね? アルティメットシリーズが3台、スーパーシリーズが5台、スポーツシリーズが4台だと思うのですが、これらの違いは?

ビッグス:スポーツカーシリーズは毎日使えるスポーツカーです。2012年にこれまでマクラーレンとしてはかかわってこなかったジャンルに進出しました。しかしながらスポーツカーとして見たとき、非常にエクスクルーシブなクルマになっています。カーボンモノコックとV8エンジンを採用しているということから見ても、多くのスポーツカーと一線を画すことは明らかだと思います。

スポーツシリーズ左から、570GT、570S、右はスーパーシリーズの720S(撮影:尾形文繁)

スーパーシリーズは現在第2世代に入っており、現在は720Sを主力としています。このカテゴリーはさまざまな技術を導入することによってエンスージアストに数多の生産車の中で異次元のスーパーカー体験をもたらすことを目的としています。

今回発表したマクラーレン・セナ(撮影:尾形文繁)

最後にアルティメットシリーズですが、マクラーレンのDNAを最も純粋な形で表現したものです。可能なかぎりの最先端の技術と思想を、限定的な数で実現しようというものです。それはマクラーレンの粋を形にしたものでもあります。たとえばP1シリーズはこのカテゴリーでは例の少ないハイブリッド・パワートレインを投入し、パワーとエコの両立という新境地を切り開くものですし、今回発表したセナはドライビング体験の究極を目指すものです。

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