「若手は出世願望がない?」の謎を解く いよいよやってくる「出世」解禁

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ただ、それでも団塊の世代が数年後にはリタイアします。長年、組織で幅をきかせてきた人材が一気に職場から消えるのです。すると、どうなるか? 職場が若返る(ざるをえない)状態になるのは明らかです。

《課長が部長、部長が役員に抜擢、平社員の君も課長に昇進してもらう》

と、出世の可能性が大幅に広がるのは間違いありません。

すでに、その兆候が出ている職場もあります。金融機関の子会社でリース業務を請け負う会社。部長クラスの大半は金融機関からの出向、転籍組です。その大半が来年で定年を迎えることに。そうなると、その穴埋めのため、再び金融機関からの出向社員を受け入れることになりますが、その会社の経営方針は

《今後の経営幹部は、半数以上をプロパー社員から抜擢する》

となっており、ここにきて、課長クラスが急激に出世をし始めたのです。

当然ながら課長が出世すれば、玉突きで若手から課長に抜擢される人が増えて、管理職の平均年齢が一気に10歳近く若返りました。それに伴い、20代の若手社員も一度はあきらめかけた出世を思い出し、仕事への意欲が高まってきている様子です。

孔子も出世を志した

こうした団塊の世代の大量退職を契機に、管理職の若返りを図ろうとする職場は少なくありません。

ですから、出世をあきらめずに、職場で上昇志向をアピールしておくことは大事です。ちなみに企業の管理職に取材して「出世に必要だと思う条件」を尋ねたところ、“出世したいという意欲”という言葉が共通で出てきました。一方でR25の取材によると20~39歳のビジネスパーソンが考える出世の条件は

1位 行動力

2位 豊かな人脈

3位 人望

ごもっともですが、できればこれに“出世欲”を加えたいものです。

最後に2500年前の思想家で論語などを通じて「徳」について教えを広めた孔子も、出世について言及しています。

ここで孔子が登場するのには訳があります。聖人君子のような存在にとって出世など関係ないもの…に思えますが大間違い。出世を志しながら叶わず挫折の日々。その結果、出世する周囲に対して嫉妬も抱きました。ゆえに、出世したいと願う気持ちは人間らしい、やる気の源泉と否定しません。

ただ、大事なことは出世して何をしたいか?目的を明確にせず、手段だけにしてはいけないと語っています。みなさんも周囲に幸せをもたらす目標をもって、出世を志しましょう。
 

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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