WDと東芝メモリ連合は「サムスン」に勝てるか 日本の半導体産業「最後の砦」の行方

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――WDはハードディスク装置(HDD)の会社です。SDはフラッシュメモリによるHDDの置き換えを目指してきました。いわばライバルです。統合してうまく行きますか。

SDではフラッシュメモリだけだったが、HDDも含めてストレージ(記憶装置)を総合的に提案できるのは強みだ。それを日本でも力を入れていく。

――サーバーの記憶装置もHDDからフラッシュメモリを利用したSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)への置き換えが進んでいます。HDDは負の遺産になるのではありませんか。

HDDはフラッシュメモリに比べて記憶容量当たりのコストが圧倒的に安い。技術進化も止まっていない。これからもHDDはなくならない。

日本の半導体産業に必要なもの

――小池社長は日立製作所やその子会社、さらにルネサステクノロジ(日立と三菱電機の半導体合弁、後にNEC系と統合しルネサスエレクトロニクスになる)で長く半導体事業に携わってきました。半導体事業は総合電機の一部門であるのと、独立した専業と、どちらが適していると考えますか?

リスクマネジメントという観点からは総合電機のメリットがあるかもしれない。だが、専業のライバルは24時間、120%半導体だけを考えている。すべての経営資源を半導体事業に投入できるのは意味がある。

──東芝メモリ売却では日の丸半導体を残したい経済産業省の関与がありました。日本で半導体産業を続けるには何が必要でしょうか。


“日本人だけ”や“日本のやり方”に固執するのではなく、世界の優秀なエンジニアを日本に集められるようにすることが大切だ。

また、工場周辺のインフラ整備など働く環境をよくしてほしい。業界首位、サムスン電子の韓国の巨大工場では近くまで高速鉄道が引かれている。それは難しいとしても、半導体産業にかかわる外国人にとって四日市は世界一だ、行ってみようとなるような支援はありがたい。

WDは外資系だが、日本で800人以上のエンジニアを採用している。東芝とともにこれまで四日市だけで約3兆円を投資しており、今後も日本には兆円単位で投資していく。

──サムスンに太刀打ちできますか。

サムスンは巨大で技術的にも優れた強敵だ。だが、WDと東芝メモリの合計シェアではサムスンに拮抗している。技術面でも勝っているとまではいえないが、十分に戦っていける。今後も両社で研究開発を怠らず、必要な設備投資を継続することが重要だ。

──中国は国を挙げてメモリ産業を育成しています。

まだ技術的に3世代遅れているが、国策でやっているので脅威ではある。一歩でも二歩でも先を行くように努力するしかない。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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