WDと東芝メモリ連合は「サムスン」に勝てるか 日本の半導体産業「最後の砦」の行方
WDと東芝はユニークな関係だ
──東芝メモリの売却が完了しました。
パートナーの経営が軌道に乗り、資金的にも安定するのは、われわれにとっても喜ばしいことだ。
──WDと東芝、東芝メモリの関係をあらためて教えてください。
半導体の前工程で研究開発や生産を共同で行うスキームで、後工程と販売はライバルになるユニークな関係だ。前工程には莫大な投資を必要とするし、研究開発も巨額なので、このビジネスモデルは非常に有効だ。異なるカルチャーの相乗効果で、1+1を3にできている。
──東芝が経営危機に陥り、メモリ事業の分社・売却に追い込まれました。反対したのはなぜですか。
東芝とは合弁会社を通じて共に事業を運営している。
2社の関係が3社になり複雑でうまくいかなくなることを恐れた。(ライバルである)韓国のSKハイニックスが買い手になることへの不安もあった。
──SKは資金を出すが、事業には口を出さないスキームとされています。安心できますか。
まだわからない。
──東芝メモリとは今後も協業が続きます。わだかまりはありませんか?
それはまったくない。この1年間、現場のエンジニアの間でそうした話題は出ていない。お互いに将来どうなるか精神的な不安がまったくなかったとはいわないが、研究開発や設備投資は計画どおり実行している。
――2006年からサンディスク(SD)ジャパン社長として東芝との協業に携わってきた小池社長が、この4月にWDジャパン社長にも就任しました。今こうした人事を行った狙いは何ですか。
SDがWD傘下に入ったのは1年以上前だ。両社の日本法人を統合しないといけなかったが、すぐにはできない事情があった。税金の問題や各社の文化の違いがあり時間がかかった。今回、日本にあるグループ3社の社長を兼務することでWDジャパングループとして統括していくことになる。
――東芝との対立で日本法人の統合に手が回らなかった面はありますか。
それもある。
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