池井戸潤が語る「空飛ぶタイヤ」に込めた思い すべての登場人物にはそれぞれ人生がある
――池井戸作品がこれまで映画化されてこなかったのは意外に思いました。
映画化の話は時々来るのですが、なかなか実現しなくて。特に今回の『空飛ぶタイヤ』は題材的に難しいだろうと思っていました。しかし、今回はシナリオがしっかりとしていましたし、決まって良かったです。
――「ぼくはこの物語から、『ひとを描く』という小説の根幹を学んだ」と語るほどに、『空飛ぶタイヤ』という小説は思い入れの強い作品だと聞いております。
他の小説が大切じゃないという意味ではありません(笑)。作家デビューから7~8年ほど経って、小説の作り方を変えるきっかけとなった作品です。プロット重視ではなく、人をリスペクトする書き方にしたんです。
小説の作り方を変えるきっかけとなった作品
ここには70人ほどの登場人物が出てきますが、そこには70人分の人生があります。それぞれが「生きている人間なんだ」ということを意識して書いた最初の小説で、今の作品につながるベースになっています。作家としての位置付けがここで変わったという点でも、記念碑的な作品だといえます。


















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