米朝首脳会談のビデオを作ったのは誰なのか デスティニー社は「一切関係ない」と否定
このビデオは脈動するオーケストラの演奏にハリウッド映画と宣伝映画の両方を組み合わせたような作品となっている。ほぼすべてが汎用の素材ビデオと、トランプ大統領と金委員長が笑顔を見せるイメージが含まれた昔のニュース映像を組み合わせて作られているようだ。英語バージョンと韓国語バージョンがあり、ナレーターの英語には韓国のなまりがあった。
その一部には乳児と自動車工場を組み合わせた映像があり、核兵器の廃棄に同意した場合の北朝鮮が繁栄する未来を示唆している。この要点を説明するため、弾道ミサイルが逆再生で発射サイロに戻っていく映像が流れた。
1953年の朝鮮戦争終結後に南北朝鮮を分断する非武装地帯のビデオが流れたところには、「過去が未来になる必要はない」というナレーションが入る。
その後ナレーションは、困窮する北朝鮮に一段と繁栄した韓国のように明るく電気が付いた様子を宇宙から見た場合のアニメーションに合わせ、「新しい世界は今日から始まるかもしれない」と続く。
トランプ大統領と金委員長は、北朝鮮が朝鮮半島の非核化に取り組み、米国は安全の保障に最大の努力を払うとともに、長年の同盟国である韓国との軍事演習を一時中断するとの基本的合意に達した。
「デスティニーはこの映画とは一切関係ない」
このビデオのクレジットには「デスティニー・ピクチャーズ」制作と書かれており、このことが「デスティニー・ピクチャーズ」を所有するマーク・カストールド氏の朝を混乱させた。カリフォルニア州ロサンゼルスに本社を置く同社のロゴはビデオのそれとは異なっている。
カストールド氏は電話インタビューに答え、「弊社はこの映画とは一切関係ない」と語り、世界中のジャーナリストから大量に押し寄せる電話と電子メールで起こされたと話した。そして、「プロパガンダなどには関わりたくない」と話す。
トランプ大統領は2016年の大統領選立候補まで、エンターテイメント業界でも長年活躍するビジネスマンで、「アプレンティス」 などのリアリティ番組で長年プレゼンターを務めていた。映画業界に転身するまでラスベガスやアトランティックシティーのカジノで10年勤務したカストールド氏だが、トランプ大統領とは面識もなく、トランプ大統領のカジノで勤務したようなこともないという。
このビデオは時折、北朝鮮が新しい投資を始め、歴史のなかでトランプ大統領とともに主役を務めるための選択ができる、と金委員長に直接呼びかけているように映った。
ナレーターは、「ドナルド・トランプ大統領と金正恩委員長が、歴史を作り直し、太陽を浴びて輝くための会談で共演。一度限り。選択肢は一つ。さあどうなる?」と語っている。
(レポート: ケヴィン・クロリッキ、補足レポート: ニューヨークのジョナサン・アレン、トロントのヒョンウォン・カン、ワシントンのロベルタ・ランプトン、グアムのスティーブ・ホーランド、編集: ウィル・ダナムおよびグラント・マクール)
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