いじめで死なせないため、大人にできること 「いじめ防止プログラム」の理解が必須だ

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いじめ研究の第一人者、ノルウェーの心理学者ダン・オルヴェウス氏を取材したことがある。世界20か国以上で導入されたオルヴェウス氏の「いじめ防止プログラム」では、共通のルールとして、次の4つの項目を提案している。

「いじめ防止プログラム」の共通ルール

1、私たちは、他の人をいじめません

2、私たちは、いじめられている人を助けます

3、私たちは、一人ぼっちの人を仲間に入れます

4、 私たちは、もし誰かがいじめられていれば、それを学校の大人や家の大人に話します

スローガンで終わらせないために、子どもたちは学級活動などで定期的に話し合う。特に3と4を根付かせることが大切。誰かを排除することはルールに反することで、大人に伝えることはルールを守ることなのだ、と子どもたちに浸透させるのだ。

大人に伝えることの大切さについて私が子どもたちに話をすると、彼らがよく口にするのが「大人にいじめを話した後、その情報がどう扱われるのかが分からないのが怖い」という不安だ。加害側からの報復につながることを恐れる子どもたちの心情はもっともで、大人側の説明が不足してはいないだろうか。

いじめ防止対策推進法の中身を、子どもたちにもわかりやすく伝えてほしいと思う。この法律には大まかにいえば次のような柱がある。

〈いじめを行ってはならない〉

〈いじめかどうかは、被害者が心身の苦痛を感じているか、で決まる〉

〈いじめが確認されたら、学校はいじめをやめさせなければならない〉

〈学校はいじめ防止の基本方針を定め、対策のための組織を作り、いじめの防止、早期発見、対応に努める〉

〈いじめによって子どもの命、心身、財産に重大な被害が生じたり、学校を休まなければならなくなっている疑いがあれば、学校は「重大事態」として特別な組織を設け、調査をしなければならない〉

いじめは法律で禁じられていること、いじめをやめさせることは学校の責任であること、重大な被害があれば調査が始まること、などを子どもたちに理解してもらう。いじめに対応する教師が誰なのか、「いじめ対策委員会」などの組織のメンバーや相談の扱い方を子どもたちや保護者にオープンに示しておけば、より信頼され、情報が集まりやすくなるはずだ。

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