いじめで死なせないため、大人にできること 「いじめ防止プログラム」の理解が必須だ

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オルヴェウス氏のプログラムでは、いじめが起きやすい「ホットスポット」の典型例もあげている。〈校庭〉〈ロッカールーム〉〈食堂〉〈トイレ〉〈階段の下〉〈近くに教室のない廊下〉など。そうした場所は、学校の休み時間などに大人が見守りをすることも効果があるとしている。

見守りは教師だけでなく、保護者を含めた地域ボランティアが参加することも有効だ。学校の閉鎖性を解き、多くの大人の目で見守ることは、いじめを許さないという大人のゆるぎない姿勢を行動で示すことであり、抑止にもつながる。

生徒会など、子どもたち自身が見回ることも効果があるだろう。いじめを許さない学校風土を育てることが大切だ。

イギリスのいじめ対策モデル

イギリスの学校で行われるいじめ対策モデルでは「子どもによるカウンセリング」が実施されていた。「反いじめ」に取り組む子どもたちのメンバーを決め、彼らが同級生や下級生のいじめの相談を聞く。

同年代のほうが話しやすい、という子どもは少なくない。クラスの中で孤立した時、別のクラスの友人や、他の学年の子どもとのつながりが支えになる子どももいる。子どもたち自身で解決する力を育てることは大切だ。同時に、子どもだけで抱え込まないよう、大人にも伝えることを前提とした最初のステップとして、子ども相談員は大いに活躍すると思う。

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一人の独立した市民である、という意識を子どもたちに持たせ、自分たちで学校という社会を過ごしやすいものにしようという主体的な市民感覚を育てることは、いじめから身を守るだけでなく、彼らの将来に役立つ力となるだろう。

もちろん大人の強力なサポートが必要だ。特に少人数の生徒会など固定したメンバーに任せきりにすると、逆に彼らが「良い子ぶっている」などといじめの標的になる可能性があるから注意しなければならない。

繰り返すが、いじめは子どもたちだけの問題ではない。子どもたちは大人を真似している。大人が発する一言が、いじめを誘発することもある。

すべての大人が、社会で子どもたちを育てる意識を持ち、子どもたちの良いモデルとして、関わることが求められているのだ。

岸田 雪子 ジャーナリスト・キャスター・東海大学客員教授・日本発達心理学会員

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きしだ ゆきこ / Yukiko Kishida

早稲田大学法学部卒業、東京大学大学院情報学環教育部修了。日本テレビ報道局政治部・社会部記者を務めた後、ディレクターとして「真相報道バンキシャ!」「NEWS ZERO」の立ち上げを経験。キャスターとして「情報ライブ ミヤネ屋」「スッキリ」などのニュースコーナー、BS日テレ「深層NEWS」のMC、報道局解説委員を務める。独立後、現在はテレビ朝日系列「中居正広のニュースな会」などテレビ・ラジオの報道・情報番組にコメンテーターとして出演中。記者時代から20年以上にわたり教育課題や子育て政策を取材。一児の母。

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