「固定資産税」の実は不公正で危うすぎる実態 古い公図に頼り、所有者不明にも有効策なし
こうして、連絡が取れなくなっていく所有者が多いためか、団地の一角には、自治会として所有者に連絡を求める看板が立っていた。自治会関係者によると、その場所は所有者と連絡が取れないため、ゴミ置場として使っているという。団地内を歩くと畑として使われている区画も多い。「そういう場所は所有者と連絡が取れない場所であることも多い。
近隣の人が草刈りをしているが、『畑として使うことで、所有者が見つけて連絡がつくかもしれない』と始めた人もいる」(自治会関係者)という。
こんな状態で固定資産税は集められているのだろうか。町に聞くと、最初は、「町外の所有者からも集めている」と答えた。
土地の評価で使われる公図はあてにならない
もう1つ、気になったのが固定資産税の「補正」だった。固定資産税のもとになる土地の評価額は、土地の形や道路への接し方などで変わる。土地が細長かったり、道路に接している「間口」が狭かったりすると同じ面積の土地でも評価額は低くなる。一方で、道路に区画の二辺が接している場合など、利便性が高いと判断されると割高になる。
補正に関しては、筆者自身、次のような経験をした。
今年は、固定資産税のもとになる土地や建物の評価を見直す3年に1度の年だ。地価も上がっているため、固定資産税も上がる。筆者はその調べ方を自分の不動産で確かめるところから始めようと、4月、自宅のあるさいたま市の浦和区役所に行った。区役所では区内のすべての不動産の評価を見ることができる。
近隣の土地の評価額を見るうちに、すぐ隣の家より自分の土地が高く評価されていることに気づいた。そこで、担当者に確認すると、「隣家より間口が広いためではないか」という。
わが家は、表の道から私道で少し奥に入ったところにある「旗ざお地」だ。同じ私道で入ったところに隣家と並んで敷地がある。その私道に接する間口が、わが家のほうが広いというのだ。
間口が狭い場合、「土地の使い勝手が悪い」と評価され、面積が同じで、表通りに面した通常の土地の評価額よりも割り引かれる。間口が2.5m以上3m未満なら85%に減額され、2m以上2.5m未満だと80%に下がる。
区役所は、わが家の間口が2.5mで、隣家は2.5m未満だという。ところが、現実は逆で、隣家の間口のほうが広い。納得がいかず、家に戻って、8年前に家を建てた時の測量図を見た。すると、やはり間口は2m9cmとなっていた。
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