「あなたの会社を殺す」3つの無症状とは何か 「確かによくある…」御社は大丈夫?

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「死んでいる会社」に蔓延する「三無症状」の3つ目は「無気力」である。

【3】「無気力」は「三無症状」の根本的な原因

人間は「気」という秘めたエネルギーを必ずもっているが、「無気力」はそれが閉じてしまい、内に向かっている状態である。「気」は見えないと思われているが、じつはよく見えると私は思っている。「無表情」「無関心」をもたらす根本的な原因が、この「無気力」である。

エネルギーレベルがきわめて低い

「人を大事にする会社」「人を育てる会社」と謳ってはいても、現実にはやる気を失った「無気力」な人が大半という「死んでいる会社」はじつは多い。「無気力」な社員はエネルギーレベルがきわめて低く、目的や目標を意識することもなく淡々と「仕事をこなしていればいい」と思い込んでいる。そして、周囲の人たちのエネルギーも奪っていく。

一方、「生きている会社」ではエネルギーが充満している。そして、つねに目的や目標を意識して、自分の仕事の意味や価値を自覚している。

「挑戦」に必要な「勇気」が存在しない

会社が存在する目的は「新たな価値の創造」であり、実現するには挑戦しなければならない。挑戦するには勇気を奮うことが不可欠である。

気力があふれている「生きている会社」では、組織に属するすべての人たちが挑戦する勇気をもち、積極的に行動している。挑戦する勇気は「度胸」と言い換えてもいい。

しかし、気力や活力が乏しい「無気力」な状態だと勇気はわき上がってこず、挑戦する気概は生まれてこない。その結果、どんどん「死んでいる会社」になっていく。挑戦する積極果敢の精神が失われている「無気力」になった時点で、その会社は事実上倒産しているのだ。

「生きている会社」は目的や目標を高々と掲げている

このように「死んでいる会社」には「無表情」「無関心」「無気力」の「三無症状」が連鎖している。会社から「三無症状」を排除し、社員一人ひとりに火をつけることができなければ、「生きている会社」にはなりえない。

新たなビジョンや成長戦略を打ち出しても「三無症状」を放置したままでは、その実現は困難である。

会社の目的や目標を高々と掲げるとともに、外発的、内発的両面で効果的な動機付けを行うのが、「死んでいる会社」会社から脱却する唯一の道である。

みなさんの会社は「生きている」だろうか。もしいま「死んでいる会社」でも、本記事で紹介した「三無症状」を克服することで、必ず「生きている会社」に変わることができると私は確信している。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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