ディーラーで自動車保険販売過熱の裏事情 新車の値引きをダシに勧誘の「グレー行為」も

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トヨタ自動車と大手損保がディーラー向けに開発した専用自動車保険のパンフレット(撮影:尾形文繁)

トヨタ自動車のプランは毎月のローンと保険料の支払いを一緒にすることで保険料割引のメリットがある。一方で、ローン返済の最長5年間、支払額は均一だが、途中解約の場合は追加保険料を取られるなど、携帯電話の“2年縛り”のようなデメリットもある。

こうした自動車保険プランはディーラーしか販売することができない。他の代理店からは、損保会社による自分たちの扱いへの恨み節とともに、ディーラーの保険募集行為そのものを問題視する声が噴出している。

企業代理店の顧客がディーラーに流出

自動車保険の販売チャネルの一つに、企業の子会社や関連会社でグループの従業員を対象に募集を行う企業代理店がある。大手製薬会社の企業代理店の営業担当Tさんは、最近、自社の団体扱いの自動車保険に加入している複数の従業員から、保険証券の再発行を依頼された。

詳細を聞くと、一部の従業員は新車を購入する際にディーラーから、「購入手続きには、現在の保険証券が必要」と言われたという。

自動車購入に保険証券は必要ない。ディーラーが自社で扱う保険に乗り換えさせようとしているのだ。自動車保険は通常、1年更新。契約先を変えても保険の等級は引き継がれるが、保険期間の途中で変更すれば、等級アップが遅れることもある。

団体扱い保険の場合、10〜30%程度、通常の自動車保険よりも安い。「当社の団体扱い割引率は25%もある。ディーラーで契約した人が十分に比較検討したとは思えない」とTさんは肩を落とす。

別の企業代理店の担当者も、「保険に入ってもらえれば車を値引きします」とディーラーから言われた従業員が複数いると明かす。実際に値引きに釣られて流出したケースもあるという。このように、ディーラーへの顧客流出に頭を悩ませる企業代理店は少なくない。

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