トランプは拉致問題の完全解決を狙っている 金正恩へのメッセージは「贖罪せよ」だ

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金正恩氏は「リビア方式」という結末から逃げ続けている。ただ、「リビア方式」が金氏の考えるような「悪魔」であれば、そこから逃げれば逃げるほど、悪魔の手の中に落ちていく、というのが米国の宗教社会の論理である。

金正恩氏は、横田めぐみさんを含む拉致被害者全員の完全帰還を成し遂げてこそ、「リビア方式」という呪縛、金氏からすれば「悪魔」の存在から逃れることができる。「リビア方式」から逃れられる道が、拉致被害者全員の解放であるという「トランプ大統領の教え」を金正恩氏は、心の奥底で深く受け止めるべきタイミングこそ、今なのである。

朝鮮半島には、伝統的に「儒教的価値観」が存在する。日本人拉致問題に関して、金正恩氏の実父である金正日氏は、当時、それを正式に認めながら、横田めぐみさんに関しては、他人の遺骨を日本側に引き渡すという形で、横田めぐみさんを帰還させなかった。ここで、もし金正恩氏が横田めぐみさんを帰還させれば、「儒教的価値観」から見て、結果的に、金正日氏に対する親不孝になってしまうという懸念が、金正恩氏の心中にあるのかもしれない。

それは、金正恩氏の大きな誤解というべきだ。金正恩氏が横田めぐみさんを含む日本人拉致被害者全員を完全に日本の家族たちの元へ帰還させること、そのことを実行することによって初めて、北朝鮮で最初に拉致を認めた金正日氏と、拉致被害者全員の完全解放を実現させた金正恩氏との、2人同時の「リデンプション」が成立するのだ。

金正恩氏への「トランプ大統領の教え」とは?

メディアからの評価で言えば、「男性優位の上から目線」が多い米メディアとは異なり、日本社会においては、「女性視聴者の目線」がメディアの報道姿勢に影響を与えるパワーが非常に強い。横田めぐみさんたち拉致被害者全員に対する日本中の女性からの温かい目線が、日本の世論の中軸をなしていくと見ていい。

「横田めぐみさんを含む拉致被害者全員の完全解放」は、「儒教的価値観」による親不孝になるという金正恩氏の懸念とは、完全な真逆となる。むしろ、拉致被害者全員の完全帰還によって、日本の北朝鮮への悪感情は一気に好転するだろう。

それこそ、トランプ大統領が米メディアに語った「日本の経済援助も大きく期待できる」と述べた真意であり、金正恩氏への「トランプ大統領の教え」にほかならない。

ところが、万が一、いまも金正恩氏の気持ちの中に、ロバート・ミュラー特別検察官に圧力を受けているトランプ大統領の状況を、北朝鮮の国益に利用できるという考えがまだ残っているとすれば、それもまた大きな誤りである、と強調しておかなければならない。

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