国内生保・大手9社トップインタビュー--業界再編の行方は?
太陽生命 大石勝郎社長
再編は来るでしょう 消費者のことを考えれば…
病気や死亡という保険事故が起こったときに、不幸せにならないようにするのが保険の本来の役割ですから、その適正な保障を得るために、お客様も普通はどこかを節約されるわけです。だから保険会社も保険料をいただく以上は、一定の努力をしていかないと。こちらも甘えを捨てて、社内改革をしたりコストダウンしり、思い切ってIT化を進めていったり、さらに一層の努力や合理化を図っていきます。10月の新商品にはその思いを込めて切り込んだつもりです。
ネットや通販、銀行窓販というチャネル競争は、われわれにさらなる努力を要求してきていると思います。サービスがよければ保険料、価格は高いというのは、実は保険会社の論理です。同じ保障ならば安いほうがいいわけですよね。われわれは価格というものを、もっと真剣に考えていきたいと思っています。
各社とも営業の質を高めていくことが、生き残り、利用者保護につながるということを、よりしく認識してきています。本当に成長した立派な営業職員というのは、お客様を大事にするという部分でもピカイチです。たとえば新契約をみても、回転売買みたいな感じになっていたりすると、お客様にとっていいことは一つもないわけです。数値的に優績基準だけれども、こういう人は優績者ではなかったわけで、その辺の見分けはきちんとやるようになりました。太陽生命としては進歩したところかなと思います。
丸々2年間、品質改善運動に取り組んでいる中で、業績も下がったし、営業職員も減りました。業績が下がったのは会社にとってはよくない話す。ただ、このプロセスを経験してこれから伸びていけると思っています。失効解約率や継続率、定着率などいろいろな指標に、そういうものを感じさせる手応えが出てきています。
業界で46社が多いかどうか、消費者にとっていいのか悪いのかと考えると、業界再編は来ると思っています。11年連続で保有契約が減少し、7社破綻という中で、業界にある種の運用や営業の問題があったのだと思います。単なる再編ではなく、新たなビジネスモデルや、成長路線が描けるかどうか。破綻するとかしないかよりも、この少子化の中で成長できるのか、株主、顧のためになるかといった視点で物事を考えるのだと思います。頭を柔らかくして考えていきます。
5年後、10年後の姿としては、今後も営業職員チャネルが中心であることは間違いないと思っています。今より大きな角度の成長ではなくても、成長する姿を作ることが大事です。成功する確率が高いのは、新しいチャネルを作るよりも、今のチャネルを充実することだと思います。
商品品質、業務品質やサービスがお客様に満足してもらえるかどうか、そのための努力の積み重ねを今後も続けられるかどうかが、今の太陽生命に必要なことだと認識しています。