国内生保・大手9社トップインタビュー--業界再編の行方は?
大同生命 倉持治夫社長
グループのバランスは絶妙 再編など考えられませんよ
今年の最優先課題はお客様サービスの充実と内部統制、管理体制を充実、強化することです。昨年の不払い問題もありますから、今年と来年の2年間は地味ですが、それを優先しています。まずは一つひとつの事務を、的確にスピーディにきっちりやっていくこと。そこに新たなサービスを付け加えていくということだと思っています。これには終わりがありません。昨年までは苦情をお聞きするので精いっぱいでしたが、今年からはそれを業務改善に結びつけていく努力をしています。
今後は、それぞれの会社で自社の得意分野というもの中心に、営業展開していくのではないでしょうか。われわれの場合は04年に持ち株会社を作りました。グループの中で専門については、その先端を担う会社でやるという考えの下、(T&D)フィナンシャル生命は銀行窓販のチャネルであり、われわれはまた違う考え、商品でやっていく必要があります。
われわれはグループ化以降、法人のお客様にさらに集中していこうと、中小企業の占率を高めてきています。専業のところは戦略に迷いがないのかもしれませんね。うちもそういう意味で迷いはないです。中小企業に重点を置くという基本的な方針や方向性、今までと変わらないと思います。手数料についても、価格競争の中に入っていくことは考えていません。
さまざまな戦略を進める中で、IT投資は必須ですが、ITには資金だけでなく、携わる人が必要になります。現在、5年間で100人ぐらいシステム要員を増やしていこうと計画しています。5年先10年先を見据えたときに、ハードだけじゃなく、それを担うシステムマインドを持った人材をより多く育成して、会社の各部門に配置して、人事交流を進めることで、より一層の効果を出していきたいと思っています。
時価会計の導入についてです、健全性については、従来から財務内容も良好なので安心しています。負債サイドの特性に合わせた運用を意識しながら、この10年やってきていますので。金利上昇局面でデュレーションが長いと困りますが、そういうことも意識しながら運用に取り組んでいます。
大同生命のミッションは、グループ会社の強みを生かしつつ、中小企業マーケットを中心とした会社として、特化することにあります。グループの中にいるからこそ、専業に集中できるわけです。今のところ再編を含めた大きな変革は考えられません。
マーケット的に考えると、日本の中小企経営者には富裕層が多い。この方たちの資産形成のお手伝いができるかどうか、保険商品と結びつくのか、投信と保険商品の間に位置するものが提供できるのかということは、今後、考えていく必要があるでしょうね。