国内生保・大手9社トップインタビュー--業界再編の行方は?

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明治安田生命 松尾憲治社長
まずは営業職員の制度改革を成功させるのが第一

 取りかかっている課題は今、二つあります。まず一つは50歳代以上の顧客開拓、定年後のお客様をどのようにしてつなぎとめ、更新していただくか。もう一つは将来のチャネルの姿をどのように描いていくかです。

新商品の開発は死亡保障より貯蓄型、医療型に重点を置いています。貯蓄型では、銀行窓販による変額個人年金分野での商品開発競争が繰りげられていますが、私どもは定額分野で活路を見いだしたいと考えています。事実、当社は窓販による月ベースの収入のうち、75%が定額保険。リスクを踏まえて考えると、変額に固執する必要はないんです。

介護をつけた終身保険のように、定額の商品で魅力ある商品開発の余地はまだまだあります。現在、銀行窓販はみずほと三菱UFJの2行がメインです。この2行での定額商品販売モデルを他の銀行にも提案していけば、さらに拡販できます。

また医療型の保険は、他社と比べて取り組みが遅れた分、特に力を入れていきたい分野です。08年4月五つの告知項目のみで申し込むことができる「かんたん告知医療保険」の発売を開始しました。これが好調で、とりわけ50歳以上の方への販売が非常に伸びています。今後は、「わかりやすい商品内容でありながら、よりグレードを上げた医療型商品」の開発に取り組みたいですね。開発途中ですのでまだ詳しく商品内容をお伝えできないのが残念ですが……。

複数の保険会社の契約を取り扱う「乗り合い型」の代理店販売が増えていくのではないかと考えています。これまでは販売力が保険会社の規模に直結していました。ですが今は、生命保険会社のメーカ機能が高まる傾向にあります。販売力だけでなく、消費者に選んでもらえる商品・サービスづくりが重要になってくるでしょう。

現在進行中の3カ年計画では、営業職員チャネル以外の販売比率を、2割まで高めることを目指しています。銀行窓販が本格始動し、店頭のような新チャネルへの取り組みも開始し、今年度は「チャネル多様化に向けての改革の初年度」といえます。営業職員チャネルで収入保険料9割超という現状は変わってくるでしょうね。とはいえ、今秋の営業職員の制度改革を成功させるのが第一です。

現在、当社のインターネット販売はネット経由で資料請求されたお客様と、営業職員が接点を持ち成約へという流れになっています。ネットの機能強化は進めようと考えていますが、ネットだけで契約を完結するのはなかなか難しいようです。現時点では「直接会って説明を受けたい」というお客様のニーズが強いようですので、非人的チャネルが飛躍的に拡大するとは、私自身は考えていません。古い考え方なのかもしれませんがね(笑)。チャネルの多様化を目指すとともに、営業職員のレベルアップを追求していきます。

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