国内生保・大手9社トップインタビュー--業界再編の行方は?

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三井生命 西村博社長
合併は選択肢にもないので気分的には気が楽なんです

 今後も営業職員チャネルでコンサルティング力を上げていくのがメインだと、長期的には思っています。ただ、ウェブの世界は非常に発展力を秘めたチャネルだと、関心を持っています。インターネットの世界と、電話などフェース・ツー・フェースの界がうまくかみ合ったときに、非常に発展していくチャネルじゃないかなと。それと同時に、チャネルに合わせて商品開発を行っていくとなると、人材もシステム開発も必要です。ですから、そういう意味で体力勝負の時代に入ってきています。

商品開発や手数料、チャネルの多様化による競争が厳しくなる中、お客様の意識や保険に対するリテラシーが高まり、企業やチャネルを見る目が非常にシビアになってきています。その意味からも、会社の財務の健全性はもちろん、今後は経営の適切性が非常に大切になってきます。具体的には、説明責任や経営の透明、お客様へのわかりやすさの追求などです。お客様の立場に立った経営をやりながら、どう生産性を上げるか。さらに、ある意味、素人のような発想で、お客様の視点で経営を行っていけるかどうかも重要です。 

三井グループというブランドは日本の市場の中ではなかなか定量化できませんが、かなり大きなものを先輩たちから預かっていると感じています。しかし、リストラを実施し、5000~6000人の総合職を2100人にまで減らしてしまったので人材が少ない。そこが弱みです。

日本の生保業界は、他の産業に比べて波風が少ない業界かなと再編についてはいろいろと検討してみないとわかりませんが、生損合併はあまりうまくいかないのではないでしょうか。生保同士だと、コストの削減なり、人の削減がうまくいかないようですし、生損保同士も、それぞれ子会社形態で事業を行える時代です。個人情報の壁もあり、チャネルを融合、進化させていくことを併せてやっていかないと、生損保が一緒にやっていくのは難しいかもしれません。

5~10年後には上場していると思いますが、上場するまでにはきっちりと成長できる仕組み、基盤を強くしておきたい。生保会社の収益の安定的なベースは営ですが、収益トータルで考えますと、運用面が非常に大きな要素になります。そんなに勝負をかけないで、リスクコントロールをきっちりやって、確実に運用収益を上げていくところから一歩踏み込んでいかないといけません。

(住友生命とは)将来的にはわからないですが、株式会社と相互会社には壁があります。再編という意味で言うと、法律的な問題になると思いますが、簡単にはできないかもしれません。一つの選択肢としては考える必要があるのかもしれませんが、いまは選択肢にもならないから気分的には楽なんです(笑)。

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