不登校だった24歳が今、振り返って思うこと

不登校のきっかけから、現在まで

最初はブログに思いをつづることから始めました。しだいに親に何度も泣きながら、話を聞いてもらうようになりました。それをくり返して、気持ちを話せるようになったんです。それからは、親も私を理解してくれるようになりました。

当時は親もどうしていいかわからなくて、必死だったんですよね。私がくり返し伝えようとしたら、一生懸命寄り添って、私を理解しようとしてくれました。言葉の行き違いもあったけど、最後は私が選んだ道をずっと応援してくれています。親には感謝しています。

――ふり返って自分の不登校をどう思っていますか。

私にとって不登校は、人生のすべてではないんです。つらかったのはたしかですが「人とうまくコミュニケーションできないこと」「自分ってなんだろう」というのがその大本です。「学校に行けないこと」に悩んでいたわけではありません。生きづらさが土台にあって、そのひとつの現象として、不登校になったのだと思います。だから「不登校」というひとつの言葉だけで自分のことを集約したくないんです。

最近思うのですが、よく「教育の選択肢を増やそう」と言うじゃないですか。たしかに選択肢は基本的にたくさんあるほうがいいと思います。ただ、選択っていつでも誰でもできることじゃないと思うんです。自分のなかにある「生きづらさの土台」、私で言えば「いい子でいなきゃ」という思いや、他人と比べてしまうこと、そういうところをなんとかしないと、行く場所が学校であれ、フリースクールであれ、つまずいちゃうんじゃないでしょうか。だから選択肢を増やすだけではダメで、生きづらさを感じないですむ社会にしていかなきゃいけないと思います。

「生きづらさの土台」は今もあるけれど…

――「生きづらさの土台」は、今もありますか。

いまも「生きづらさの土台」はあらゆる面で感じますが、昔よりはだいぶ楽になってきました。最近、ようやく自分のことを、弱いところもひっくるめて受けいれられるようになった気がするんです。

今の社会はすごく「できる人」が求められているように思います。明るい人のほうがいい、「コミュ力」が高いほうがいい、大人になったらこうなるべき、というふうに。それに追いつかなきゃ、と必死になっていた時期もありました。でも、なかなか上手くいきませんでした。なんどもなんども経験を重ねて、「これはもう受けいれてくしかないんだな」と、良い意味で諦めがついてきました。

それでも「ならっちのよいところは繊細なところだよね」と言ってくれる友人もいます。それが私なんですよね。だから社会の理想像とはちがうかもしれないけど、自分なりにできることを探しながら、私はへなちょこなままで生きていきたいと思います。

――ありがとうございました。

(聞き手:茂手木涼岳/撮影:矢部朱希子)

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