「泉北ライナー」乗車率アップへ次なる策は? 朝の列車は「ニュータウンの足」として定着
運賃割引は顧客サービス向上策ではあるが、利用が増えなければ減収につながる。増益を確保するためには、コスト削減と運賃収入以外からの増収策をセットで講じる必要がある。増収策の一つとして、駅ナカ店舗の充実化が実行に移されている。4月26日には泉ケ丘駅改札前コンコースに「セブン-イレブン」や「ココカラファイン」、「エキ・タカ 泉ケ丘タカシマヤ」で構成される新しい商業施設ゾーンを開業させた。
泉北高速鉄道を子会社に収めて以降、南海電鉄が次々と積極策を実行に移している理由は何か。その背景には、泉北線を取り巻く厳しい状況がある。
「老化」する泉北ニュータウン
泉北ニュータウンは、高度経済成長期の住宅需要に対応する大規模な計画市街地として大阪府の主導で整備されたが、1967年のまち開きから50年を経過して、人口減少や少子高齢化の進行、都市インフラの老朽化などの問題に直面している。
そして、ニュータウンの「老化」は住民の輸送を担う泉北線の輸送人員減となって現れている。泉北ニュータウンの中で堺市域の人口は1992年の16万4587人をピークに、2018年3月末時点では12万3100人(堺市「堺市町丁別世帯数・人口」を元に筆者推計)と、ピーク時比で25%以上も減少した。
また、泉北高速鉄道の管理駅の中で最も利用が多い泉ケ丘駅の乗降客数も減少傾向にあり、同社子会社化の2014年度の4万2487人に対して、2016年度は4万1271人と3%近く減少した。
泉北ニュータウンの人口減は泉北線の輸送人員減に直結するだけでなく、直通運転を受け持つ南海高野線の輸送人員減へとつながりかねない。泉北高速鉄道買収の狙いとして、遠北社長は「直通運転を行う南海電鉄が、泉北高速鉄道を子会社に収めることによって一体的な運営を実現し、コスト削減や利便性向上を図ることが、泉北線と南海高野線双方の持続的運営につながる。両社線の一体的運営を図ることで相乗効果を発揮できると考えて買収を決断した」と語る。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら