KDDIは「Netflixパック」に何を期待したのか 髙橋社長が明かした「5G戦略」の詳細

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海外では圧倒的なブランド力を誇るネットフリックスだが、日本市場では2016年の4.3%から7.1%へと伸ばしたものの、同じく海外制作コンテンツが中心のAmazonプライム・ビデオが5.9%から11.5%へと伸びたのに比べると物足りない。

4月に副社長から昇格した髙橋社長(筆者撮影)

KDDIの調査では日本における映像配信サービスの加入世帯は全体の15%にすぎない。理由を調べると、コンテンツ(サービス事業者ごとに得意なコンテンツジャンルが異なるなど)、料金、それに視聴機会(自宅でゆっくり見る時間がない)といった部分が、消費者側の懸念点として見えてきたという。

そこで100時間分のモバイル視聴が可能なパケット代をパックとし、いつでもどこでも視聴できる環境を提供。国内コンテンツが得意なビデオパスと組み合わせることでコンテンツの多様性を提供するのが今回の枠組みだ。

移動時や出先でも映像を楽しみたいユーザーのニーズに応えることができ、携帯電話キャリアならではの決済サービスを利用できることを考えれば、今回の提携はネットフリックス側にとっても戦略的な意味は大きい。

「5G」の特徴を生かして何ができるか?

もう1つは、やはり5G時代に向けた前哨戦という意味合いだ。

髙橋社長は発表会の中で「大容量・低遅延・多接続が5Gの特徴だと、みんな同じことを言っている。しかし、その特徴を生かして何ができるか、という部分で、ピンとくるサービスはまだない。しかし、これは3Gのときも、4Gのときも同じだった」と振り返り、携帯電話事業者のお仕着せのアイデアが世の中を変えるわけではないと話した。

ではどこに消費者の琴線に触れる次世代アプリケーションがあるのか。

ネットワークスライシング技術が確立されてくると、通信サービスの設計自由度が飛躍的に高まり、通信はアプリケーションごとの”オーダーメイド”となっていく。そのため、パートナーとともに5Gネットワークを前提とした次世代アプリケーションを模索し、どのように最適化を進めていくかノウハウを蓄積する必要があるわけだ。

加えて、4G世代であってもできること……たとえば今回のネットフリックスとの提携プランのように、始められることは先行して事業の枠組みを作っていく。その意味では、5G世代に向けた取り組みは、今まさに始まっているのである。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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