KDDIは「Netflixパック」に何を期待したのか 髙橋社長が明かした「5G戦略」の詳細
「5G社会に向けて、ネットワークサービス事業者と携帯電話キャリアは、一層タイトに結びついて価値創造を進めていくようになる」
4月に社長に就任したばかりのKDDIの髙橋誠社長は、5月29日に行われた「au発表会2018 Summer」後にインタビューに応じ、2020年以降に整備が進む予定の次世代携帯電話ネットワークに向けた事業ビジョンについてこのように話した。
髙橋社長の話から見えてきたのは次世代携帯電話網における新たな事業モデルのビジョンと、そこに向けての中・短期的な施策だ。通信プラットフォームを持つ企業として、サービス事業者を“受け”の態勢で待つのではなく、積極的な協業、新アプリケーション領域を開拓していくことで足場を確かなものへとしていく戦略だ。
「通信とライフデザインの融合」
同社は「通信とライフデザインの融合」を中期的な事業ビジョンとして掲げている。ライフデザインとは、KDDIがauブランドで進める暮らしを豊かにするサービス事業のことだ。
スマートホーム、電力事業、ネットを通じた日常品やセレクト商品の販売、各種保険や住宅ローンなどジャンルは多岐にわたる。今後はIoTを活用したヘルスケア分野のサービスなど、生活に密着したさまざまなライフデザインサービスへと広げていく。そのために、昨年はIoT向け通信プラットフォームのソラコム、クラウド技術のアイレットを買収するなどの準備を進めてきた。
今回の発表会では、そうした取り組みの一部として、(1)ネットフリックスとの提携およびビデオ配信サービスをバンドルしたパケット料金プラン、(2)出資しているテレイグジスタンス(ロボット、センサー、通信を組み合わせ、遠隔地に存在しているかのような体験を得たり、遠隔地にあるロボットを操作する技術)を用いた仮想旅行体験サービス、(3)専門性の高いパートナー企業やベンチャーを集め5G実証実験を含む次世代サービス/商品のプロトタイプ開発や事業検証を行う「KDDI DIGITAL GATE」の3つが紹介された。
中でももっとも注目を集めたのが1つめの「auフラットプラン25 Netflixパック」。意地の悪い見方をすれば、ネットフリックスをバンドルすることで注目を集め、ビデオパス(KDDI提供の映像配信サービス)が5Gバイト分お得になる料金プランを設置することで加入増を狙う、という短絡的な戦略に見えなくもない。
まずは、率直に「ネットフリックスとの提携」という話題からインタビューを始めた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら