ソニーがα7で狙うプレミアムカメラの覇権 ニコン、キヤノンを揺るがすミラーレスの技術革新(下)
とりわけソニーの思い切った攻勢は目立っている。ソニーはレンズ交換式カメラ事業を強化するにあたり、コニカミノルタと提携。同社の撤退が決まると該当部門をまるまる買い取り、フィルム時代に形成されたカメラ技術と顧客ベース、レンズ資産などを引き継いだ。
当初は既存のミノルタ製カメラユーザーに対し、伝統的な光学技術を活かした製品開発を行っていたが、顧客ニーズの把握や流通経路の確保が進むにつれて独自路線へと舵を切り、昨今はノンレフレックスカメラのNEXシリーズへと軸足を移していた。
ボディサイズは大型化
そこに投入するのが、35ミリフルサイズCMOSセンサーを搭載するノンレフレックスカメラのα7だ。撮像素子が大きくなれば画質も上がるが、ボディ、レンズともに大きくせざるをえない。
そのため一眼レフ方式に対するサイズ面での優位性は大幅に縮まってしまう。従来のミラーレス一眼カメラNEX用のレンズでは実力を発揮できないため、新レンズの開発・流通といった負担も増える。
しかし、そうした困難があることを承知の上でα7を作ったのには、理由がある。デジタルカメラ市場において、他社が挑戦しない技術的に難しいもの、ソニーだからこそ作れるようなプレミアムなものを生み出していくことが重要と、平井一夫社長自身が考えているからだ。
その狙いははっきりしている。これまでデジタルカメラ市場の裾野を支えていたコンパクトデジタルカメラは、2万円を割り込む価格帯が中心となった上、スマートフォンのカメラ機能の向上とともにゴッソリと初心者ユーザーを奪われてしまった。
カメラ映像機器工業会統計によると、今年1~8月のコンパクトデジタルカメラの総出荷台数の累計は3008万台で、前年同期比では45.7%減となっている。もはや壊滅状態と言ってもいい状態だ。だからこそプレミアム製品へのシフトが重要なのである。
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