ソニーがα7で狙うプレミアムカメラの覇権 ニコン、キヤノンを揺るがすミラーレスの技術革新(下)

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自他共に認める”デジタル製品好き”の平井社長が、特にこだわっているのがデジタルカメラ。質感や操作性、デザインなど、最終的な仕上がりは、自身もそうとうに拘っているようだが、実は定期的に撮像素子を開発する厚木事業所に通い、新技術の可能性についてヒアリングを自ら行っているという。

高まった現場のモチベーション

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平井社長はカメラに強いこだわりを持っている(撮影:尾形文繁)

一歩間違えば、余計な口出しによって事業をダメにしてしまうパターンだ。経営トップその場の思いつきで製品についてコメントをしてしまうと、その言葉が一人歩きして、さまざまなハレーションを生むことが多い。

しかし、技術者出身ではない平井社長は「知ったかぶりのようなことは言わず、技術者の説明に耳を傾けて掘り下げようとする」(あるエンジニア)。そのためもあり、以前に比べ現場のモチベーションが高まったとの声を耳にする。

このような、経営トップ自らが商品性の評価や将来に対するビジョンを持っていることが、ソニーのデジタルカメラ製品に新たな魅力を加えている。高い評判を得ているスマートフォン「Xperia Z1」の内蔵カメラも、こうしたこだわりの延長線上にあるものだ。

ソニーの思惑通りにプレミアム・カメラでの存在感を高めて行けば、一眼レフカメラ市場で盤石の体制を持つキヤノンとニコンもうかうかとはしていられない。ソニーの新戦略はカメラ業界を大きく揺るがす可能性を秘めている。ノンレフレックス方式への投資集中が進み話題に上るほどに、関連する業界全体が注目して技術も進歩する。

それらは他のノンレフレックス方式を主戦場とするメーカーの商品価値も押し上げるだろう。もちろん、キヤノン、ニコンも、このまま手をこまねいて見ているだけとは思えない。レンズ交換式カメラ市場は、ここで新しいフェーズへと突入しようとしている。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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